日本代表の6月シリーズも、残すところ14日のチュニジア戦のみとなった。ここまで3試合で多くのトライを続けているが、ミッドフィールドのメンバー選考は興味深い。中心となっている遠藤航は、それぞれの特徴を生かすために必要なことは「判断」であると強調する。

上写真=遠藤航は中盤の軸としてワールドカップを見据える(写真◎JMPA江本秀幸)

「個人的にはボールを持ちながら進めたい」

 6月シリーズのここまで3試合における、ミッドフィールドの顔ぶれをおさらいしてみる。

 パラグアイ戦では遠藤航をアンカーに、原口元気、鎌田大地のインサイドハーフでスタート。後半から遠藤に代わって板倉滉がアンカーへ、61分に原口から田中碧に交代した。

 ブラジル戦の先発は遠藤と原口は変わらず、左インサイドハーフには田中。原口が前半のみのプレーで、代わって鎌田が入り、田中と左右を入れ替えた。81分に田中に代わって柴崎岳が入ると、柴崎は遠藤と横並びでボランチに入り、鎌田がトップ下へ。

 ガーナ戦は遠藤をアンカーに、インサイドハーフは右が久保建英で左には柴崎。遠藤に代わって田中が69分に入って、そのままアンカーを務めた。

 守田英正が負傷で離脱しているが、ブラジル戦の81分以降を除いてこれまでのアンカーシステムを採用、遠藤を中心に板倉と田中がアンカー、原口、鎌田、田中、久保、柴崎がインサイドハーフを担当した。

「大事なのは、誰が出ても特徴をどう出させてあげるかですね」

 最も長い時間、プレーしている遠藤はそう振り返る。

「(ガーナ戦で)タケ(久保)なら攻撃の良さを引き出してあげたり守備の負担をないようにして攻撃でできるだけ高い位置に行かせるとか、もちろん引いて受けるのもタケのテンポの作り方なので自分が受けに行き過ぎなくてもいいのかなと意識しました。学だったら2ボランチ気味に作ってもいいのかな、とか、そこは選手の特徴やシチュエーションによって自分もポジションを変えたり、全部が全部、自分が受けるというよりは、特徴やポジショニングを見ながらという形でやっています」

 ワールドカップ最終予選では守田と田中がインサイドハーフを務めることが多く、ボールを配ったり守備で強みを発揮するトライアングルだった。そこに異なるパワーを加えるトライを繰り返している。

「インサイドハーフをボランチ的な選手にするのかトップ下の選手にするのかで、試合を見ても分かると思いますけど、(トップ下タイプなら)前への勢いとか得点の匂いはあって、3ボランチ気味になると守備的な感じになります。碧とモリ(守田)であればしっかりボールを受けて持てるので、その時間が長くなります。一方で、点を取るには大地とかタケというトップ下の選手であれば攻撃的な采配になるのかなと感じています。点を取りに行く状況になったときにどれだけ自分が守備を頑張りつつ、インサイドハーフを攻撃的なメンバーでやっていくのかはオプションとして持っていると思います」

 これだけバリエーションを持てること自体が強みになるが、それを本当の意味でチームの力にするために必要なこととして、遠藤は「判断」という言葉を繰り返して強調した。

「ブロックを敷いてカウンター狙うこともあれば、ボールを動かしてチャンスメークしていくシーンを作る戦い方もできると思います。個人的にはボールを持ちながら進めたいし、前に速い選手もいてカウンターを狙うのも悪くない。状況に応じて、メンバーや時間帯によって、ゲームのシチュエーションの判断を一人ひとりがワールドカップという高いレベルでやれるかどうか。その状況判断の質を上げたいと思います」

 いよいよ6月シリーズも14日のチュニジア戦を残すのみ。森保一監督はどんなメンバーをミッドフィールドに送り込むのか。興味深い采配になる。


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