日本代表の中山雄太がブラジル戦を終えて、取材に応じた。シュート数で大きく差をつけられ、攻めの形をなかなかつくれないまま、試合はPKによる失点で0-1で敗れることになった。だが、現時点で感じたその差は決して埋められないものではないと中山は語った。

上写真=ブラジル戦で中山雄太は左サイドバックとして先発し、フル出場を果たした(写真◎JMPA小山真司)

何ができて何ができなかったか、はっきりしている

「結果が問われる試合だったのは間違いない。結果が出なかったことは悔しい」

 前夜、FIFAランキング1位のブラジルと対戦した中山は、敗戦の悔しさを口にし、その上できっぱりと言い切った。

「あまり距離は感じていない。(差は)ワールドカップまでには埋められると思っている」

 0-1で敗れ、シュート数で大きく上回られた。現時点で力の差があるのは確かだろう。ただ、それは現時点での話。左サイドバックとして先発出場した中山は「埋められる差」だと感じていた。

「何ができて、何ができなかったか、自分の中ではっきりしている。強豪国の、世界のレベルを体感できたことはよかったと思う」

 開始直後に失点するような事態は避けたいと考えて試合に入っていた。実際、前半は0-0で終え、想定通りにゲームを進めることができたが、「試合開始早々にポストに当てられているので、紙一重だった。ワールドカップなら、あのようなシーンで観客もブラジル寄りになると思うし、雰囲気を一気に持っていかれると思う」。警戒しながらも持ち込まれ、シュートを打たれたことに関して、中山は反省した。

 本大会のグループステージでドイツやスペインと対戦することが決まっている。ブラジル同様、強豪国だ。一瞬の判断の遅れやミス、集中力の欠如が勝敗を分ける。ブラジル戦も後半、チームはビルドアップの局面でパスを食われて速攻を受け、PKを献上することになった。ミスは付き物がだが、限りなくゼロに近づける必要はある。今回はさまざまなチャレンジをすることで日本の現在地を知り、強豪国との距離を測る狙いがあったにせよ、敗戦という事実は残った。

 ここから本大会までの5カ月では、しっかり結果を出すためにどうすべきかを考え、磨いていくことになる。

「後ろからのビルドアップに関しては今までの相手と同じようにできたなという感覚はある。ただ、そこからのクオリティーだったり、アタッキングサードでのアイディアだったりというのは、差はすごくあったと感じた。ゴールに近づく回数だったり、人数だったりというので、ブラジルとの枠内シュートの差に表れたんじゃないかなと」

 チームがシュートエリアでアイディアを発揮していくためには、前線にスペースを生み出し、アタッカーにチャンスを創出することにつながるサイドバックの攻撃参加も重要になるだろう。ブラジル戦では右サイドバックの攻撃参加に比べて、左はやや自重気味だった。

「対峙していたラフィーニャが僕が上がることで下がるときもあれば、下がらない時もあった。僕の位置が低くからスタートすることになったので、ラフィーニャは下がらないことが多く、(吉田)麻也くんと試合中にコンタクトすると、『残れ』という指示もあって、そこは試合に流れに応じて判断しなければいけない部分。もう少し上がりたいというのももちろんあったので、その部分は僕の中ではもう明確だが、そこは周りとのコミュニケーションですが、もう少し左から厚みのある攻撃したい」

 今回の活動では、伊藤洋輝が代表デビューを飾り、長友佑都も含めて左サイドバックの定位置争いはより活性化している状況だが、粘り強い守備やビルドアップ、差し込むパスなど、中山には中山の持ち味がある。本人も目線は横ではなく、常に前に向けている。つまりは自分自身を高めて、W杯本大会でいかに戦うかに集中しているということ。

 チームは10日にガーナ戦、14日にチュニジア/チリ戦を戦う。中山は次の出番から今回感じた手応えをさらに向上させ、課題を克服すべくプレーするつもりでいる。


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