上写真=カタールでの練習でもリラックス。山根視来が初の最終予選に挑んでいる(写真◎JFA)
「大きく強い動きすること、それを繰り返すこと」
山根視来の初めてのワールドカップ最終予選は、オマーンへの敗戦からのスタートになってしまった。出場こそなかったが、「1年前は夢の舞台だったワールドカップに手が届くかもしれないところにいる」という緊張感と使命を持ちながら、次の中国戦に向かう。
初戦に右サイドバックとして出場した酒井宏樹がオーバーワークのためにチームを離れ、同じポジションを務める山根に期待が集まる。敗れたオマーン戦ではサイドからの攻撃に課題が残ったと、選手たちは口々に反省している。そうなると、川崎フロンターレで右サイドを面白いように攻め立てる山根の感性を代表チームにも組み込みたくなる。
初戦をベンチから見た上で、山根はサイドアタックのさらなる工夫をイメージしている。
「引かれた相手には、大きく強い動きすること、それを繰り返すことが大事です」がその基本。そこから、2つのアイディアを盛り込むつもりだ。
「サイドバックとウイングと、ハーフスペースにもう1人が入ったら三角形ができるので、その出し入れがあったら相手も嫌だったのではないか」
一つが「三角形」だ。川崎Fでいえば、サイドバックの山根、ウイングの家長昭博、インサイドハーフの脇坂泰斗で崩すコンビネーションがある。もちろんメンバーの特徴やシステムが違うからそのまま当てはめることはできないが、例えば山根、伊東純也、鎌田大地のトライアングルがイメージできるだろう。
「相手が嫌がるところに入っていくには、横や縦だけではなくて斜めの動きが効果があると思います。オマーンはコンパクトだったのでサイドチェンジのパスを左ウイングを目がけて出しても良かったと思うので、意識してやっていきたい」
同サイドで狭いエリアを突破するだけではなく、相手が下がってスペースを埋めてくれば逆が空いてくる。斜め方向への「飛ばすパス」をいかに素早く送れるか。
中国も初戦でオーストラリアに敗れて後がない。日本から勝ち点3をもぎ取るためにどんな戦略で向かってくるかは試合が始まらなければわからないが、相手の出方を見ながら最適解を導いていくのは、この人の得意中の得意のプレーである。