上写真=メキシコ戦に向けてトレーニングする原口元気(写真◎JFA)
メキシコ戦は日本の現在地を知る試合
「終わってしまったのが悔しいです」
あの日の試合後、原口元気は声を絞り出すように言った。
「相手が圧力をかけてきた中で僕らが耐えきれなかった。全員最後まで必死にやっていましたけど、チームとしても、個人としても、やはり一歩、足りないのかなというのがあります」
ロシア・ワールドカップのラウンド16。原口が先制し、乾貴士が続いて日本は2-0とリードしながら、ベルギーに追いつかれ、アディショナルタイムで逆転されて、散った。俗に言う『ロストフの死闘』。前半を終えて越えられると思った8強の壁は、想像以上に高かった。
あれから2年が過ぎた。原口はドイツで所属クラブを変え、さまざろまなポジションを経験してプレーを幅を広げた。すべての経験は、あの日感じた「あと一歩」を埋めることにつながっていると信じて。
明後日18日には、ワールドカップ常連国のメキシコと対戦する。過去に自国開催のW杯で2度、8強進出を経験しているが、94年大会から7大会連続で8強の壁を越えられずに敗退している国だ。
「世界のトップ10に入っていくためには確実に倒さなければいけないレベルの相手。メキシコもベスト16をなかなか破れないですが、(日本にとって)本当にいい相手だと思う。そこに勝っていくと初めて見えてくるものがあるはずですし、すごく分かりやすい相手だと思う。ファンの方やメディアの方も僕らにとっても、自分たちの目標を定める上で分かりやすい相手だと思います」
ベルギー戦を経験して必要だと思ったものには積極的にトライしてきた。あの試合を経験した選手たちに共通する姿勢だろう。それはまた、西野朗監督とともにコーチとしてあの場にいた森保一現日本代表監督も同じだ。原口が言う。
「壁を破る上で、フォーメーションを2つ使えることは、ものすごく大きな武器になると思っています。それこそベルギー戦で、2-0で勝っている状況で、何か変化が加えられる戦術を持っていたりとか、3バックにしてプレッシャーをかけられるような、相手がもっと困るような状況に持っていけたんじゃないかと。ただ待ち構えて2点を守るんじゃなくて僕らからアクションを起こして、相手がさらに混乱するようなシステムや戦術が持てていたら、ということもある。自分たちより能力の高い相手だったり、もちろんアジアに対してもそうですけど、相手がより困ったり混乱するというものは作っていくべきじゃないかなと思っています。それはワールドカップを経験して思いました。
そこは一つ、森保監督の狙いだと思います。もしかしたら、オーソドックスで堅いものを作るのも一つのやり方かもしれないですけど、いま僕たちがトライしているのは、戦術の幅を持たせる、自分たちの持ち駒を一つ増やすという作業。僕らはポジティブ。今はトライをしている段階だと思っています」
4バック(4-2-3-1)に加え、3バック(3-4-2-1)にトライしている意義を問われて、原口は答えた。
「代表は集まって戦術的な練習ができるのは2日ぐらい。そのなかでチャレンジしているので簡単ではないんですけど、なぜ僕らがチャレンジしているかというと、自分たちより一つレベルが上の相手に勝っていかないと、ベスト8には入れないから。それがすごく大きい。まだ素晴らしい内容で、適応力を持ってやれているかというと、そんなに手応えがあるわけではないですけど、でも少しずつ、森保監督のアイディアやミーティングによって進歩しているというのはあるので。パナマ戦を見てもそうだし、コートジボワール戦でもカメルーン戦でも少しずつ見えているというのが、僕の中の評価です」
着実に進んでいると実感するチームと、自身の現在地を確認するのが、メキシコ戦になる。
「ワールドカップまであと2年なので、このタイミングでそういうレベルの国とやれるというのは、僕自身もすごく楽しみ。もちろん、勝つこと目指しますけど、勝った中でも色んな差だったりとか、良い部分、悪い部分出てくると思う。負ければ負けたでもっと努力しなければいけないと分かる。メキシコ戦はすごく分かりやすい試合になると思います。この2年でそれ(8強の壁)を越えるために」
道しるべとなる試合は日本時間18日の早朝、キックオフとなる。