上写真=90+6分、谷川萌々子が逆転ゴールを決めると歓喜の輪ができた(写真◎Getty Images)
■2024年7月28日 パリ五輪・GS第2節(@パルク・デ・プランス)
ブラジル女子 1-2 日本女子
得点:(ブ)ジェニファー
(日)熊谷紗希、谷川萌々子
熊谷紗希が冷静にPKで同点に
劇的! 日本がブラジルにアディショナルタイムの2ゴールで大逆転勝利を収めた。
初戦でスペインに逆転負けを喫した日本は、清水梨紗が負傷で離脱したこともあり、先発を3人入れ替え、フォーメーションも3-4-2-1に変えて臨んだ。
日本はブラジルのフィジカルに押される形でなかなかボールを持てず、動かせないまま、落ち着かない序盤を強いられた。スタジアムの雰囲気はブラジルのホームのようだったが、そのブラジルも攻撃は雑。組織力で上回る日本はビッグチャンスを作らせなかった。逆に最初に決定機をつかんだのは日本だ。
19分、GK山下杏也加が右サイドに大きく正確なキックで届けると、宮澤ひなたがドリブル、正確に中央に送りフリーになっていた田中美南がワンタッチシュート、しかしボールはゴールの左へと切れていった。
時間を追うごとにブラジルのプレッシャーに慣れてくると、38分には日本らしいコンビネーションでチャンス。右から宮澤が長谷川唯とのワンツーで中に入って中央の田中へ、さらに左に展開して守屋都弥がセンタリングを送ると、走り込んできた長谷川が右足のアウトサイドで狙うが、GKの正面を突いた。
前半最大のチャンスはアディショナルタイムにやって来た。左サイドから見事なコンビネーションで崩し、浜野まいかのスルーパスを左に抜けた宮澤が受け、左から中に走ってきた守屋へ、そのままミドルシュートを放つと、DFの手に当たってハンドのファウルでPKを獲得した。しかし、右のコースを狙った田中のキックはGKに読まれてストップされた。
後半開始からブラジルは一気に3人を交代させてくる。これがいきなり当たってしまう。
56分、中盤からエースのマルタがロングスルーパス、入ったばかりのルドミラが左を抜けて短く中央へ。同じく交代出場したジェニファーがゴール右に蹴り込んで、ブラジルが先制。日本は劣勢に立たされた。
ここから徐々にオープンな展開に。68分には長谷川が左へ振って守屋がセンタリング、中央で田中がワントラップから反転して右足ボレーで狙ったが、GKのビッグセーブで阻まれた。
だが、試合はここからだ。日本も交代選手が鍵を握った。80分に投入された谷川萌々子がボランチに入ると、セカンドボールのピックアップや前線へのパスなど幅広く動いてリズムをつかみ、89分にはペナルティーエリアの右で切り返して相手のハンドを誘ってPKを獲得。
今度はキャプテンの熊谷紗希がキッカーとなり、ゴール右に落ち着いて流し込んで、ついに90+2分に同点に追いついた。
そして、本当のクライマックスはここからだった。またも主役は谷川だ。同じく交代出場の清家貴子がスピードを生かして右サイドをドリブルでつっかけ、止められたものの相手のパスがミスになってこぼれる。GKが前に出ていたのを見逃さなかった谷川がダイレクトでループシュートを送り込んで、90+6分、一気に逆転してみせた。
オリンピックのデビュー戦となった19歳のMFが最高の輝きを見せて、日本は今大会初勝利を手に入れた。
▼出場メンバー
・日本◎GK山下杏也加 DF高橋はな、熊谷紗希、南 萌華 MF古賀塔子(70分:清家貴子)、長野風花、長谷川唯、守屋都弥(80分:谷川萌々子)、宮澤ひなた(80分:千葉玲海菜)、浜野まいか(57分:植木理子) FW田中美南