奈良クラブのMF可児壮隆が、2年ぶりにAxisバードスタジアムのピッチに立った。4月29日の明治安田生命J3リーグ第8節で、2021年まで在籍したガイナーレ鳥取と対戦。中盤の一角で先発フル出場し、古巣対決でチームを3連勝に導いた。

上写真=先制点を決めたFW浅川隼人(29番)を祝福する可児。古巣対決で先発フル出場した(写真◎石倉利英)

■2023年4月29日 J3リーグ第8節(@Axis:観衆1,661人)
鳥取 0-2 奈良
 得点:(奈)浅川隼人2

中盤の底で試合をコントロール

 今季の日程が決まったときから、この日を楽しみにしていたという。3連勝を飾った試合後、可児は「アウェーでの鳥取戦は、すごく楽しみでした。アウェー側のロッカールームに入ったのは初めてです」と静かに振り返った。

 神奈川県出身で、U-15から川崎フロンターレのアカデミーでプレー。阪南大を経て2014年に川崎Fに加入したが、翌15年は湘南ベルマーレ、16年はツエーゲン金沢、17年は当時JFLのFC今治と、クラブを変えながら期限付き移籍を繰り返した。結局、川崎Fに復帰することのないまま17年限りで契約満了となったときは、サッカーをやめることも考えたと、のちに明かしている。

 だが、Jリーグ合同トライアウトを経て鳥取に加入。1年目から中盤の主軸として活躍し、「人生で初めて」となるキャプテンも務めた。それでもJ2昇格という目標を果たせないまま、2021年限りで契約満了に。再びJリーグ合同トライアウトを経て奈良に加入し、JFLからJ3への昇格に貢献して、この日を迎えた。

 自身2年ぶりとなるJ3での古巣対決。勝利へのポイントを「鳥取は真ん中に人数をかけて攻めてくるチームなので、真ん中のブロックをしっかりすることと、縦のラインをコンパクトにすること。あとはカウンターがチャンスになるという分析だったので、狙っていた」と明かし、中盤の底で試合をコントロールしながら勝利を目指した。

 53分までに2-0として、55分には鳥取に退場者が出たものの、その後は風上の相手に押し込まれてピンチの連続となった。何とか無失点でしのいで勝利をつかんだが、「風もあって、相手も前に出てきましたが、そこでもう少し冷静になってボールを持てればよかった」と反省点を口にした。

 開幕から先発出場を続け、この日の勝利で暫定2位に浮上した奈良の中盤を支える働きを見せている。それでも可児は「自分たちのアイデンティティーを、もっと高めていきたい」と今後を見据え、「守備はコンパクトにして、(各ラインの)間に入ってきたボールに対して強く行き、攻撃ではビルドアップでもっとボールを保持して、攻めることができれば。その内容を高めていくことが大事だと思う」と、さらなるチーム力アップへ意気込んでいた。

現地取材・写真◎石倉利英


This article is a sponsored article by
''.