10月21日の明治安田生命J1リーグ第30節で、首位のヴィッセル神戸が4位の鹿島アントラーズを3-1で下した。勝利の立役者は、2ゴールを挙げた佐々木大樹。最高の気分を味わったその源には、大迫勇也たちベテランの厳しくも思いやりのある「声」があった。

上写真=佐々木大樹が大迫勇也の祝福を受ける。ベテランの声が若手を成長させている(写真◎J.LEAGUE)

■2023年10月21日 J1リーグ第30節(@国立競技場/観衆53,444人)
神戸 3-1 鹿島
得点:(神)佐々木大樹2、井出遥也
   (鹿)松村優太

「その体勢でシュートを打っても入らないよ」

「最高に気持ちよかった!」

 はじける笑顔で、佐々木大樹は叫んだ。4位の鹿島アントラーズという難敵を相手に、ヘッドと右足ボレーで2ゴール、見事に3-1の勝利に導いた。

 1点目は16分。左サイドで井出遥也がドリブルで相手をはがしてクロス、逆サイドにいた佐々木は少し下がりながらの難しい体勢だったが、しっかりとヘッドでボールに力を伝えて右サイドネットへと送り込んだ。

「チームとしてもサイドからのヘディングは狙っていましたし、日頃からコーチにヘディング練習に付き合ってもらっているので、その恩返しが少しはできたかな」

 2点目は83分。2-0のスコアで試合を進めて鹿島の逆襲をひっくり返し、CKを獲得。右から扇原貴宏がニアに送り、ジェアン・パトリッキがヘッド、左ポストに当たってこぼれたボールをうまく右足のアウトサイド気味に乗せてカバーに入った相手が触れないようにゴールの上を狙って決めきった。

「あれも気持ちで押し込んだっていう感じです」

リーグ戦で1試合2ゴールは自身初めてのこと。今季はこれで7ゴールで、キャリアハイだ。

「前への意識が変わりましたね。ここぞというときに出ていかないと、前の選手は価値が上がらないと言われていて、意識が変わりました。怖い選手になれと常日頃から言われています」

 まさに鹿島にとって怖い選手になった。そして、練習でも試合でも、佐々木にささやくのが大迫勇也だ。

「サコくんには、練習の一つひとつで、お前は最後のところだよ、そこだよ、って常に言ってくれています。だから、最後のバイタルエリアのところは意識できるようになってきました。それが、試合に少しずつ出せているんじゃないかなと」

 この試合でも、10分にミドルシュートを放ったものの外れたときに、大迫から声をかけられている。

「体勢のことですね。その体勢でシュートを打っても入らないよ、とか、細かいところまで言ってくれるんです」

 ベテランが若手に声をかけ、成長を促す。首位をゆくチームの充実ぶりが分かる。

 右ウイングで先発し、2ゴールを挙げて、守備でもさぼらずに、最後まで走り抜き、終了のホイッスルが鳴るとピッチに座り込んだ。その姿勢は、優勝への残り4試合でも変えるつもりはない。

「やってることは、もう見ての通り、チームで攻守で走っていくということは変わらないですし、プラスアルファで、もっともっと最後の質の部分を個人的に上げていければ、チームもよりいい方向に行くんじゃないかなと思うんで、その質を上げていきたいです。もう、頑張りますよ!」


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