上写真=永井謙佑(右)が逆転ゴールを決めた森重真人とこの笑顔。頼もしいベテランコンビだ(写真◎J.LEAGUE)
■2022年4月6日 J1リーグ第7節(味スタ/13,814人)
FC東京 3-1 神戸
得点者:(F)アダイウトン、森重真人、ディエゴ・オリヴェイラ
(神)山口蛍
「次はゴールを決めて勝利に導けるように」
右サイドが輝いた。ウイングの永井謙佑、インサイドハーフの安部柊斗、サイドバックの渡邊凌磨。このトライアングルが思う存分、タレントを発揮して組み合わせ、逆転勝利へのパワーになった。
0-1で迎えた54分、右サイドで後ろに安部、内側に渡邊とポジションを変えながらボールを動かしてポイントを作り、渡邊が裏のスペースに流し込んで永井が前を向く。顔を上げてクロス、と思わせてもう一つ持ち、ゴールラインぎりぎりでチップキック気味のセンタリングをファーへ。逆から飛び込んできたアダイウトンがヘッドで押し込んで同点だ。
「最初のタイミングで上げようと思ったら相手が寄せてこなかったので、それで一つ間ができて中を確認できて、アダ(アダイウトン)の位置も見えていたので、うまく合わせられてよかったですね」
神戸の守備の寄せの甘さでできた十分な時間を利用して、とっさに下した判断がゴールを導いた。
2点目にも大きく関与している。先制から3分後、左CKをニアでヘッドで触ったボールが後ろにこぼれたが、これをさらにつないで左から渡邊がアンドレス・イニエスタを抜いて持ち運んできた。ペナルティーエリアにそのまま残っていた永井がDF2人の間に立って、渡邊がそこに差し込むと、ヒールで中のアダイウトンに残した。
「自分で打てないと思って、アダの位置を確認していたので出しました」
体が外を向いていたから、シュートを打つにしても深い角度で無理やり左足を振るしか方法はなかった。だから冷静にアダイウトンに預けた。アダイウトンはさらにディエゴ・オリヴェイラに下げ、もう一つ戻すと、最後は森重真人がゴール左に蹴り込む逆転ゴールが生まれた。
どちらも渡邊からボールを引き出すコンビネーション。ただ、序盤はなかなか噛み合わなかったのも確かだった。永井がほしいタイミングや場所と渡邊のそれがずれていた。
「最初はなかなか凌磨も出すタイミングをつかめていなくて、でも出してくれたらオレが追いつくから信じて出して、と。僕も助かりましたし、そこから何回かチャンスができて、結果として1点目で合わせることができてよかったです」
まさに魔法の言葉だろう。感覚が合いだしたのは、34分に渡邊からDFの背中にもぐり込んだ永井にぎりぎり通るパスが送られたあたりからだろうか。40分には同じような渡邊のクロスからダイレクトでシュート。この好リズムを後半にも持ち込んで、先制ゴールへとつなげていった。終わってみれば、今季最多ゴールを集めて3-1の逆転勝利。
「前半からチャンスはあったし、ハーフタイムにも1本返せば勢いに乗れると話していたので、監督が求めていることやりながら選手が自信を持ってできています」
あとは、自らのゴールがあれば。
「今日もチャンスが2、3回はあったので、次はゴールを決めて勝利に導けるようにしたい」
左ウイングを主戦場としながら、この日は右で先発して結果を残した。先発でも途中交代でも、攻撃でも守備でも(森重がヒーローインタビューでその献身的な守備を称えていた)、スピードを出しても出さなくても機能するマルチアタッカー。33歳になってもまだまだ伸びしろがある。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE