欧州遠征中のU−22日本代表は10日にU-21イングランド代表と対戦した。試合は非公開だったが、U-21欧州選手権に向けた合宿が始まったばかりの相手はまだまだ調整段階にあり、プレミアリーグでプレーしている選手が複数人いたものの、今回の試合に限れば想像していたほどの「強さ」は感じなかったという。

上写真=今回のシリーズでも自らの力を示すべく、アピールに努めている藤田譲瑠チマ(写真◎飯尾篤史)

スミス=ロウは空気みたいな感じで(笑)

 3月のU-21ベルギー戦では「8番(アステル・ヴランクス)は本当にレベルが高かった。彼はミランで出ている選手。世界基準を知れるのは本当に貴重」と刺激をビンビンに受けていたが、6月10日に行われたU-21イングランド戦は、やや拍子抜けだったようだ。

 アンカーとして先発した藤田譲瑠チマは冗談を交えながら、非公開で行われた親善試合を振り返った。

「トッテナムのボランチがいると聞いたときはちょっとテンションが上がりましたけど、(やってみたら)そんなにという感じで。相手も部分部分ではうまいんですけど、やっていてうまいなと思ったのは、リバプールのエリオットくらい。スミス=ロウなんて空気みたいな感じでした(笑)」

 譲瑠が口にしたトッテナムのMFオリバー・スキップ、リバプールのMFハーヴェイ・エリオット、アーセナルのMFエミール・スミス=ロウ、さらにはチェルシーのFWノニ・マドゥエケなど、イングランド代表は画面越しによく見る選手をそろえてきた。

 だが、相手は長いシーズンが終了したところ。6月21日に開幕するU-21欧州選手権に向けた合宿が始まったばかりで、調整の意味合いが強かったようだ。若き日本代表が65分に山本理仁、75分に松村優太のゴールで2-0と勝利した。

 前半は相手に押されたとの情報があったが、譲瑠に言わせると、そこまで問題でもなかったようだ。

「エリオットが嫌らしい立ち位置を取って、フリーで展開されて少しピンチになりましたけど、前半も自分たちにもチャンスがあって。(小田)裕太郎や平河悠にも決定機があったなかで0-0の折り返しだったので、ハーフタイムに話し合ったのは、前半の勢いのまま修正するところは修正していこうと。だから、そんなにやばい感じではなかったです」

 この試合と14日のU-21オランダ戦は、チーム強化の場であると同時に、9月に行われるパリ五輪アジア1次予選のメンバー選考会の意味合いもある。一方、横浜F・マリノスで喜田拓也、渡辺皓太の牙城を崩せずにいる譲瑠にとっては、浮上のきっかけをつかみたい場でもある。

「あのふたりの息はぴったりで、彼らがいるからマリノスの今の結果があると言って過言ではないくらい、バランスがすごくいい。でも、そこに割って入っていかないといけない。難しいですけど、今はできることをやるだけだと思っています」

「(今シリーズは)海外で見てもらえる場なので」との言葉には、誰かに自分を発見してもらいたい、自分の良さを見出してもらいたい、という切望がにじむ。藤田譲瑠チマはオランダ戦に向けてだけでなく、いつか来るチャンスのためにも万全の準備を続けている。

取材・文◎飯尾篤史


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