上写真＝途中出場の高岡伶颯が相手を突き放す３点目を決めた！（写真◎AFC）
高い集中力と戦う姿勢をピッチで示す
日本は最初のチャンスをものにした。オーストラリアの最終ラインが浮き球の処理に不安があることを見抜き、スキを逃さなかった。10分、敵陣右サイドで得た日本のスローインの場面で、柴田が入れたボールがゴール前でバウンド。相手右CBバリーが目測を誤ってかぶったところで、名和田がいち早く反応してみせた。流れたボールを右足でプッシュ。見事にネットを揺らした。
欲しかった先制点を奪った日本はその後もロングボールを活用しつつ、奪ったらシンプルにカウンターアタックを仕掛けてオーストラリアの守備網を突破していった。すると23分、狙っていた形で追加点を奪うことに成功する。
左CBの永野が自陣深い位置から相手最終ラインの裏へ送ったロングボールに左サイドハーフの吉永が反応。抜け出しに成功すると、相手に寄せられる前にワンタッチで中へ折り返す。クロスの終着点となるボックス手前のバイタルエリアに走り込んだのが、道脇だった。
右足のインサイドキックでしっかりボールをとらえ、GKの届かないゴール左下にシュートを突き刺す。ワンタッチパスの連続でオーストラリア守備陣に寄せるスキを与えなかった日本が２−０とリードした。
その後、日本は４−４−２でしっかりセットしつつ、相手をつかまえにいく守備が奏功。攻めてもオーストラリアの３バックの脇のスペースにボールと人を送り込み、前半は狙い通りの戦いを展開した。
２点リードで迎えた後半、相手が圧力をかけてきたが日本は冷静に対応してみせる。50分過ぎから連続でCKを与えるなどピンチも招いたが、GK後藤の好守もあり、無失点を継続した。
しかし62分、何でもない形からゴールを決められてしまう。相手GKのロングフィードを最終ラインが弾き返すもセカンドボールを拾われ、キックとヘディングによる浮き球でつながれてライン裏に出されると、最も警戒していたFWイランクンダに一瞬の速さで抜け出されシュートを許す。小杉も体を寄せていたが、欧州のビッグクラブが注目するFWに速さと強さで上回られた。
ただ、１点差に詰め寄られたものの、その後も日本は冷静さを失わなかった。ボールを動かしながら相手を引き出し、裏へボールを送るなど状況を踏まえて試合を進めていく。球際で戦い、組織立った守備で相手の攻撃に対応。イランクンダに対する監視も強めた。
日本が再び２点差にリードを広げたのは74分のことだ。敵陣でボールを奪われたが、すぐさま中島が相手のパスをカットし、矢田を経由して佐藤へとつなぐ。センターサークル内でボールを引き取った佐藤はフェイントで一人かわすと、道脇が前線からやや下がって空けたスペースに走り込む選手を見逃さなかった。斜めに走り込む高岡へ、密集を切り裂くスルーパスを通したのだ。
相手と競り合いながら巧みにボールを収めた高岡は、GKも切り返しでかわしてシュートを放つ。落ち着き払ったプレーで、途中出場のFWに求められる役割を見事に果たした。
８分と表示されたアディショナルタイムも集中力を持続した日本は、追加点のチャンスを決めきれなかったものの、相手にゴールを許すことなく、試合をクローズさせて３−１で快勝。見事にUー17ワールドカップ出場権を獲得した。
今大会一つ目の目標をきっちりクリアした日本はここから大会連覇、すなわちアジア王者を目指して進んでいく。次戦は29日、決勝進出をかけてイランと対戦する。
▼出場メンバー
日本:GK後藤亘、DF柴田翔太郎、本多康太郎、永野修都（90＋3分:土屋櫂大）、小杉啓太、MF佐藤龍之介、山本丈偉（68分:矢田龍之介）、中島洋太朗、吉永夢希（83分:川村楽人）、FW道脇豊、名和田我空（68分:高岡伶颯）
