1月3日、東京・駒沢陸上競技場で行なわれた高校サッカー選手権2019の3回戦、静岡学園(静岡)対今治東(愛媛)は静岡学園が勝利した。前半にMF浅倉廉のシュートで先制、後半にMF小山尚紀の個人技で追加点を奪った。

上写真=静岡学園の10番を背負う松村。厳しいマークに遭うも、チームの勝利のためにプレーする(写真◎中島光明)

「サッカーはチームスポーツ」

 静岡学園の背番号10が、右サイドでドリブルを仕掛ける。縦へとスピードに乗り、ゴール前へクロスを送ってチャンスを演出。守備でも相手選手を猛然と追いかけ、ボールを奪取。鹿島アントラーズ加入が内定しているMF松村優太は、得点にこそ絡まなかったものの、「クロスや守備でも貢献していければ」と、その才能を駒沢陸上競技場のピッチで示した。

 大会直前の昨年12月にはU-18日本代表候補合宿にも呼ばれた。『代表』と『鹿島加入』の二つの看板を背負って臨む今大会。相手チームも簡単にはプレーをさせてくれない。

「ボールを持ったら常に3人くらいは(マークに)来るので、無理に(ドリブルを)仕掛けずサイドチェンジしたり、そういうプレーを意識しています。昨日(2回戦)、今日(3回戦)と、あまりシュートを打てていないけれど、それは仕方のないことかなと」

 実際に、3試合を終えていまだノーゴールだが、松村の表情に焦りの色はない。自らが今、チームに貢献できることをわきまえている。

「すごくマークが集中するので、まだ点を取れていないけれど、自分自身はそんなに焦らず、いずれ取れるかな、と言う感じでやっています。たぶん、自分にもシュートチャンスが回ってくると思う。なかなか攻撃させてもらえないぶん、守備だったり、そういうところでも貢献しなければという思いがあります。守備は昔からそんなに苦手ではないし、そこで奪えればまたチャンスになるので、常に意識しています」

 今大会の目標を「まず第一にCブロックを突破すること」と話す。全国の予選を勝ち抜いた強豪ぞろいのCブロック。昨年11月に行なわれた抽選会の時点では、昨年度ベスト4の『尚志』や『福岡県代表』の名があった。大会後に鹿島へと加入する“同期”のFW染野唯月(尚志※ケガで大会欠場)や荒木遼太郎(東福岡※抽選会後に行なわれた福岡県予選決勝で敗退)と対戦する可能性もあったのだ。両者とも選手権出場は叶わなかっただけに、松村は大会前にこう決意を固めていた。

「自分たちだけではなく、鹿島のサポーターの人たちも(染野、荒木との対戦を)期待していたと思います。でも、僕しか出られない状況になったので、楽しみにしていたサポーターの人たちを悲しませないように、良いプレーをして、しっかり良い結果を出していきたい。他のチームへの内定選手もいる中で、自分たちにも日本一になれる力はあると思うので、『自分の大会にする』くらいの欲を持ってやっていければいいです」

 第一目標の“Cブロック突破”まで、あと1勝。1月5日に行なわれる徳島市立との準々決勝に勝てば、その先には埼玉スタジアムの舞台が待ち受けている。

「あと1試合勝てば、Cブロック突破して、埼玉スタジアム(の試合)まで1週間調整できる。次も必ず勝ちたいです。もちろんゴールを取れたらいいし、狙っているけれど、やはり『自分が、自分が』となってしまうと、チームが勝てなくなるかもしれない。トーナメント戦は、他の選手も点を決めて、チームがしっかりと勝つことが一番大事。サッカーはチームスポーツなので」

 チームスピリットを体現し、サッカー王国の伝統校を頂点へと導く。

取材◎小林康幸

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