ロアッソ熊本で活躍しているFW谷口海斗は、高校時代はBチームだったが、夢をあきらめず大学で成長を遂げ、現在プロとして輝きを放っている。その不屈の道のりに、高校時代の指導者も賛辞を惜しまない。

Bチームの選手の希望

 しかし、遅咲きの才能は大学で花開く。

 岐阜経済大(現在の名称は岐阜協立大)に進んでサッカーを続けた谷口は、CBとして入学直後からトップチームに在籍。2年生のときに自ら志願してFWに転向すると、ボールコントロールやスピードを武器に急成長を遂げ、3年生では東海学連選抜に選ばれた。

 4年生になるとキャプテンとしてチームをまとめ、東海学生リーグでは19得点を挙げて得点王に。岩手(当時は旧名称のグルージャ盛岡)からオファーを受け、同大学初のJリーガーとなった。さらに1年目の2018年はJ3リーグで23試合出場・15得点、昨季は32試合出場・9得点を記録して評価を高め、今季は新天地でも結果を残している。

 高校時代は無縁だった華やかな舞台。プロの世界で躍動する谷口を、伊室監督は称賛する。

「腐らず、サッカーの夢をあきらめなかった偉大な戦士です。トップレベルの選手だけがクローズアップされがちですが、谷口の姿は四中工サッカー部の誇りであり、現在Bチームにいる選手たちの希望になっています」

 四中工で新1年生向けに行なわれる説明会の資料には『夢を絶対にあきらめなかった先輩たちの姿』が掲載されている。Bチームでも腐らず努力を続け、チャンスをつかんだOBの一人として谷口も紹介されており、伊室監督は「我々指導者にとっても、谷口は『伝統校とは、こういうことだ!』という考えの裏付けになっています」と語る。

 谷口の先制点の5分後、鳥取の同点ゴールを決めたのは同じ四中工出身のルーキー、FW田口裕也だった。高校時代に「Bチームで、スタンドで応援していたけどプロになった」という谷口の逸話を聞いていたという。教え子がそろって活躍し、伊室監督も「うれしい限りです!」と二重の喜びだった。

取材◎石倉利英 写真◎AC KUMAMOTO