清水エスパルスのDF鈴木義宜が、8月度のJ2『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』を受賞した。『DAZN Jリーグ推進委員会』では月間表彰選手をインタビューしており、サッカーマガジンWEBはJ2の月間MVPに迫る。上位との直接対決を含む8月の4試合で3勝1分けと勝ち点を伸ばし、1年でのJ1復帰へのラストスパートにつなげたディフェンスリーダー。昇格のみを目指して戦うキャプテンに、歴史と伝統を誇る『オリジナル10』でプレーする責任と覚悟、シーズン終盤への決意などを聞いた。

上写真=8月度のJ2月間MVPは鈴木義宜が受賞! 全4試合にフルタイム出場し、上位を追撃する清水の最終ラインを支えた(写真◎J.LEAGUE)

成功体験が、これからの試合に生きてくる

――8月度のJ2『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』を受賞されました。8月の戦いで印象に残っている試合は?

鈴木 ありがとうございます。FC町田ゼルビア戦(8月19日の第31節・〇3-2)が劇的な試合でしたが、DFとしては、無失点に抑えることができた東京ヴェルディ戦(8月6日の第29節・〇1-0)と、レノファ山口FC戦(8月12日の第30節・〇1-0)がよかったです。

――東京V戦は相手が3位、清水が4位で迎え、勝てば順位が入れ替わる上位対決でした。特別な思いで臨んだのですか?

鈴木 特別だとか、上位が相手だからといった考えはなかったです。残り試合数が少なくなってきて一つひとつの試合が、より大事な時期なので、とにかく、この試合に勝つことだけを考えてプレーしました。

――続く山口戦も1-0で勝ち、7月最後の第28節から3試合連続の1-0勝利となりました。無失点で抑えることの重要性を、あらためて感じたのではないですか。

鈴木 そうですね。先に失点すると厳しい展開になってしまうので、やはり無失点に抑えることは毎試合、意識していることです。ここ数試合、失点が少なくなっているからこそ、勝ち点を取れていると思いますし、自分自身もチームとしても、少し手応えがあります。

――山口戦では40分に大ピンチがありました。ホナウド選手の横パスが相手選手にカットされ、そのままドリブルで攻め込まれましたが、懸命に戻った鈴木選手がスライディングタックルでシュートを足に当てて防いだ(※動画の50秒過ぎからのシーン)。どのような判断でプレーしたのですか?

鈴木 ホナウドのパスが出た瞬間、奪われるかもしれないと思ったので、その時点で下がる準備をして、実際に奪われてしまったので、ダッシュで下がりました。間に合うかどうか分からなかったですが、相手の選手の最後のボールタッチが長くなり、また僕が来ていることが分かったせいか、重心が後ろに下がっていて。ゴンちゃん(GK権田修一)がいたので、自分がファーサイド(※このシーンではバックスタンド側)のコースを切れば何とか守れるかも、と思って最後にスライディングして足を伸ばしたら、相手がファーサイドにシュートしてくれたので、ボールが足に当たって防ぐことができました。

――まさにギリギリの判断だったのですね。

鈴木 あらためて考えると、相手の体勢が良かったらスライディングしていなかったかもしれないです。相手に切り返されて、かわされたら、GKはノーチャンスなので。あの体勢になっていたからこそ、スライディングすればボールに当たるかなと思ったので、最後までボールを見て、そこに足を伸ばしたら当たりました。

――続く町田戦は4分と23分に失点し、序盤で0-2とされる苦しいスタートでした。

鈴木 2失点目の直後に飲水タイムだったので、そこで落ち着くことができました。しっかりボールを握り、相手を揺さぶっていこうという全員の共通認識ができたことが大きかったです。

――その後は44分、61分、84分に得点し、3-2の逆転勝利でした。自信につながる勝利になったのでは?

鈴木 そうですね。今後もビハインドになる試合はあると思います。0-2からでもひっくり返せる力があることを証明できたし、成功体験が、これからの試合に生きてくると考えています。

――山口戦と町田戦はホーム2連戦で、山口戦の観客数は1万4386人、町田戦は1万7989人でした。IAIスタジアム日本平の素晴らしい雰囲気が、勝利への後押しになったのではないですか?

鈴木 そのとおりです。あの雰囲気の中でプレーできていることを、あらためて幸せだと感じました。何より、来てくれた皆さんに勝ち点3をプレゼントすることができて、笑顔で帰ってもらえたことがうれしかったです。