今年、クラブ創設35周年を迎えるガンバ大阪のキャプテンに就任したのがDFの中谷進之介だ。イェンス・ヴィッシング監督が新たに就任し、J1百年構想リーグとACL2を戦うチームの現在と未来について話を聞いた。

C大阪戦の前半で手応えを得られた

キャプテンとしてイェンス監督のもと、新たなスタイルのサッカーを支えている中谷(写真◎J.LEAGUE)

 ガンバでの今シーズンも、然りだ。新たに就任した指揮官、イェンス・ヴィッシング監督のもと、キャリアで初めてキャプテンに就任した彼は、あっという間に指揮官の信頼をつかみ、新たなサッカー、意図を汲み取ってチームを牽引してきた。試合を重ねるごとにその戦いにも自信を積み上げられているという。

「正直、スタートは監督が代わってどうなるのか、という不安もありました。サッカーが大きく変わり、キャンプからトレーニングの強度もすごく上がった中で、未知な部分も多かったというか。ゲーゲンプレスでボールを奪って攻撃に転じられれば理想ですけど、それが狙い通り形になるのか。結果につながるのか。守備を預かる一人として、縦横のスライド、スプリント力がより求められるサッカーの中で昨年大きく嵩んでしまった『失点数』を減らしていけるのか、手探りの部分もありました。でも開幕からAFCチャンピオンズリーグ2(2025/26)の戦いを含めた連戦を戦いながら、それなりの結果がついてきたことでチームとしても勢いづき『このサッカーで勝負しようぜ』という軸ができ、それが僕らをぐっと前に進めてくれた」

 ヴィッシング監督が漂わせる『自信』に促された部分も大きかったそうだ。

「イェンス(監督)はすごく自信を持っている人。シーズンが始まってからは特に、彼の自信がチームにいい意味で派生してきているのを感じます。彼がそれを狙ってやっているのかはわからないけど、僕らに対しても堂々と振る舞い、お前たちは戦える、みたいなところを植え付けるのもすごくうまい。正直、やっているサッカーはすごくシンプルで、練習でもそこまで複雑な動きや指導が多い訳でもないし、そうなると練習もすごく退屈しそうなんですけど、プレーの細部を含めてイェンスが勝負にこだわることをすごく徹底している分、そうはならないというか。むしろ、僕ら選手も自然と乗せられてテンションが上がっていく。

 例えば、今シーズンは、試合前日も…それがアウェーゲームでも、時間は短いながらもちゃんとゲームをするんですけど、そこで言っていること自体は『前に!』『球際!』くらいの端的なものなのに、その言葉がガツンと響いて、チームが締まる。そういう持っていき方がすごくうまい監督だなって思います」

 加えて、公式戦の『入り』となった、J1百年構想リーグ開幕戦の『大阪ダービー』で手応えを得られたことも、チームを勢いづけたと振り返る。

「アタッカー陣が本当にかなり大変な仕事を課せられる戦術なので、彼らがどう思っているのかはわからないですけど、前線の選手があれだけ守備をしてくれると、後ろは予測して守備ができる分、めちゃめちゃやりやすい。しかもセレッソ大阪戦の前半で『これはいける』という手応えを得られたことがチームを走らせたというか。それ以降も、3月の中断までに戦った12試合のうち、ホームでの浦項スティーラーズ戦(ACL2
2025/26のラウンド16・2ndレグ)やヴィッセル神戸戦(J1百年構想リーグ第7節)の前半など、強度のあるチームに対して理想とする戦いができたのは、自分たちのサッカーへの自信を深めることにつながった」

 中谷自身も好感触を得ながらシーズンを戦えているという。

「前線の選手があれだけ守備を限定してくれると、後ろの僕らも前に出やすいし、ポジションをズレるにしてもリアクションで『ズラされる』のではなく、自分たちのアクションでズレることができる。その分、今年は、もう一歩、半歩の速さが出るようになっているし、そういう場面を数多く作れている感覚はすごくあります」

 一方で、課題は、中断前の12試合で感じた自分たちのサッカーに対する手応えのほとんどが、各試合の『前半』に得たものだということ。すなわち、90分の戦いで見ると、試合終盤に差し掛かるほど強度が落ち、相手に押し込まれる時間が増えてしまっていること、だ。実際、J1百年構想リーグ第7節・神戸戦や第8節・アビスパ福岡戦は、その流れから試合の最終盤に失点を喫し、勝ち点3を手放してしまった。

「強度の高いサッカーをするとなると、途中から出てくる選手も含めて全員で戦えないと、どうしても後半は苦しくなってしまう。それを考えても、今後は、途中出場の選手を含めてもう一度ギアを上げられるような戦いができるようにならなくちゃいけないと思っています。あとは対戦相手もいる中で、チームとして行き切る時間と落ち着かせる時間のメリハリも必要というか。その辺のゲームコントロールをうまくできるようにならないと、不用意な失点も減っていかないので、ボールを持つことで体力を保つ戦い方みたいなところも考えなくちゃいけない。

 もちろん、イェンスの理想は相手陣地でサッカーをし続けることなので、ボールを支配して、切り替えて、という展開を相手陣地で90分間続けられれば最強ですけど、その時間を増やしていくためにも、ケガ人がたくさん出ている今は、もう少しみんなで賢く試合を進めることも大事になると思っています」