10月23日の明治安田生命J1リーグ第33節でFC東京は鹿島アントラーズと戦うが、この試合は人気サッカーマンガ「ブルーロック」とのコラボマッチ。ストライカーがテーマのこのマンガにちなんで、FC東京の選手に「ストライカー論」を聞く連続インタビュー、第3回はジョアン・オマリだ。自らが止めるべきストライカーは、仲間だった。

上写真=ジョアン・オマリが最後尾で狙うのは「チームでの守備」。仲間との連係を深めていく(写真提供◎FC東京)

▶連続インタビュー 第1回はブルーノ・ウヴィニ! 第2回は紺野和也

いいストライカーとは?

――日本でのプレーはサガン鳥栖、ヴィッセル神戸に続いてFC東京が3チーム目となりますが、センターバックとしてこれまで対戦した中で最もリスペクトしているストライカーは誰でしょう。

ジョアン・オマリ(以下、JO) まずは、ディエゴ・オリヴェイラ選手を挙げたいと思います。

 自分の中の定義においては、いいストライカーとは点を取るだけではなくて、インテリジェンスを含めてチームにしっかりと貢献できる選手です。そういう意味では、同じチームのディエゴ選手は本当に素晴らしいと思っています。

 他のチームでいうと、スコットランドのセルティックに移籍しましたが、古橋亨梧選手も本当に素晴らしいストライカーですね。

――ディエゴ・オリヴェイラ選手の素晴らしさを言葉にすると、どんな表現になるでしょう。

JO 特徴としてはまず、スペースへと動くアクションがあります。それを絶えず続けるところが本当にすごいですし、ディフェンダーにとってはとても守りづらいんです。スタミナを消費させられますからね。とにかく動き続けることが、ディエゴ選手の素晴らしい点の一つです。

 もちろん、それだけではなくて、ボールを扱う技術も素晴らしいですよね。ワンツーで抜けていくこと、ドリブルで前に運ぶこと、そしてシュートと、どれも素晴らしい技術に支えられています。これを兼ね備えたストライカーはなかなかいないと思います。それもディエゴ選手のストロングだと思います。

――そんなディエゴ・オリヴェイラ選手とは練習で対戦してともに成長していく仲だと思いますが、どんな意識で臨んでいますか。

JO まずは、ディエゴ選手にスペース与えないことを意識しています。ボールを持たれると止めるのは難しいので、その前にボールを収めさせないようにしなければなりません。そのためには自由なスペースを与えないことが大事になってきます。

 ディエゴ選手と1対1で向き合うと止めることは難しいですから、一人で止めるのではなくてチームとしてどうやって対処するか。チャレンジ・アンド・カバーもそうですし、1対1に持ち込ませずにグループでどうやって抑えるかに意識を向けています。

――もう一人挙げた古橋選手の強みは、やはりスピードでしょうか。

JO 小柄ですがとてもスピードに優れていて、ディエゴ選手と同じように絶えず裏を狙い続け、その動きをやめません。だから、止めるのが非常に難しい選手です。直線的に動いてくれば止めやすいですが、違う方向に動き直したり裏を狙い続けるプレースタイルはディフェンダーにとってはやっかいだなと感じています。

――その2人の特徴を踏まえると、裏を狙うこと、それを続けること、の2点がジョアン・オマリ選手にとってのいいストライカーの条件ということですね。

JO その2つはディフェンダーにとっては止めるのが難しい選手の条件ですからね。ディフェンダーは一般的に、高さがあったり体の強さがある選手が多くて、なかなかアジリティーやスピードを兼ね備えていないので、その点でも難しくなります。

 裏を狙われて動き続けられると、やはり守るのは大変です。でも、先ほども話したように自分一人ではなくチームとしていかにスペースを与えずに守るかに集中したいですね。

 ……あ、でも、話し過ぎるとほかのチームの選手に情報を与えてしまうことになるので、このぐらいにしておきましょう(笑)。

――そうですね(笑)。ところで、古橋選手とは神戸で一緒にプレーしていましたね(2019年)。

JO はい、チームメートでした。口数は決して多くはない人柄ですが、とてもプロフェッショナルな選手です。練習に対する準備が素晴らしくて、全体練習が始まる1時間半前にはグラウンドに出てランニングでウォームアップをしていましたね。私も何度か一緒にやりましたが、彼は毎日そうしていて、とてもついていけずに私はやめてしまいました(笑)。

 とにかくその姿勢は素晴らしく、サッカーに向き合う態度が結果に表れていると思います。