思い出深い2015年の松本戦
特にマッシモ・フィッカデンティ監督が指揮を執った16年シーズンは、プレーにも余裕が出てきた感覚を得られたという。
「移籍を繰り返していたころは試合に出られない苦しさがあって、サガンに来た当初もそうでした。でも移籍3年目になって、やっと落ち着いてサッカーができている感じがあったんです。カタチになってきたというか。ベテランになったからなのかなとは思いましたけど、充実していましたね」
思い出深いシーンとして、彼は15年シーズンのセカンドステージ第15節、アウェーでの松本山雅FC戦(10月24日)を挙げる。0-1で迎えた後半22分、GKからのフィードを豊田陽平が頭で落とし、詰めていた谷口が右足ヒールで合わせて同点ゴールを奪った。これがチームに勢いをもたらすことになり、逆転勝ちによって残留を確実にしたのだった。
「もしあの試合で負けたら(残留争いが)厳しくなっていたと思います。ボールが自分のところがきて〝あれ、当たったかな〟っていう感じでした。やっとチームに貢献できたなって思いましたね。ただ、ああいう場面で点が取れるのは自分の武器、自分の持ち味だとは思っています」
J1通算350試合に出場して52得点。サガンでは主にセンターバックとしてプレーしながら、印象的なゴールをいくつも挙げている。最後のシーズンとなった2019年シーズンでもルヴァンカップのグループステージ第1戦、アウェーのベガルタ仙台戦(3月6日)で左コーナーキックからのボールをヘディングで合わせている。1年10月ぶりとなるJリーグの公式戦で、いきなりゴールをマークしたのだ。
セットプレーにはめっぽう強い。「ゴールに対する気持ちは強いほうだと思うけど、気持ちだけで取れるもんじゃない」と彼は言い切る。
「あのときキッカーは安在和樹で、僕は練習でも試合でも彼のキックの質を見てきました。そうすればイメージできるし、ポジショニングや入り方も考えておける。ヘディングの強い(フェルナンド・)トーレスの後ろで待つようにしました。ひざが悪いので、高くジャンプできないことを考えて。ヘディングの強い選手の近くにいてゴールになりましたけど、セットプレーのときは弾かれたボールがどこに来るのかを考えながら、ペナルティーエリア内を絶えず動くようにはしています。僕の得点数の半分くらいはセットプレー。あとは大黒さんとか、点が取れる人のプレーをよく見て、研究してきた部分もあるとは思います」