フランクフルトを退団し、新天地に関するニュースが毎日のようにあがる日本代表の鎌田大地の書籍『ブレない信念 12人が証言する サッカー日本代表 鎌田大地の成長物語』がベースボール・マガジン社から発売された。7月29日に全国高校総体(インターハイ)が開幕するが、本書に掲載された第3章の一部を抜粋し、鎌田の高校時代をお届けする。第1回は東山高校1年生のときの話。

シュートは枠の外へと外れ 

 大地が1年生のときの夏、東山高校は全国高校総体に初出場。大地は1回戦の旭川実業高校(北海道)戦でスタメン出場を果たしたが、東山に退場者が出たため後半で途中交代。チームはPK戦の末に惜敗した。

 続く選手権の京都府予選では、スタメンだったり、途中出場だったりという立場だった。決勝は、1年生の技術よりも3年生の思いにかける福重の考えからベンチスタートになった。相手の京都橘高校は、この大会で全国準優勝に輝く強豪。本大会で優秀選手に選ばれる仙頭啓矢と小屋松知哉(現・ともに柏レイソル)が2トップを組んでいた。また、下級生にもMF中野克哉(現・FC琉球)やGK永井建成(現・FC大阪)を擁するなど、各ポジションに穴がないチームだった。

 激しい雨が降る中、西京極陸上競技場兼球技場(現・たけびしスタジアム京都)で行われた一戦は、序盤から京都橘高校のペースで進んだ。仙頭と小屋松が、前半半ばに連続ゴールをマーク。コーナーキックからさらに追加点を奪われた東山高校は、0-3のビハインドで折り返すことになった。しかし、後半開始直後に岡と森俊介が追撃の得点。そして、逆転の切り札として、大地に出番が訪れた。

 1点差に詰め寄ったことで勢いに乗った東山は、相手守備陣の背後を何度も突いたが、同点ゴールは生まれなかった。大地にも、試合終了間際に決定機が到来。がら空きのゴール前でシュートチャンスを迎えたが、インサイドキックで打ったシュートは枠の外へと外れ、結局、2-3でタイムアップのときを迎えた。