先制点を奪ったのはアウェーの札幌だった。11分、右サイドのMF白井康介のクロスが相手選手に当たり、こぼれ球をゴール前で待ち構えていた進藤亮佑が右足でゴールに蹴り込んだ。ただ、1点をリードして試合を折り返すも、後半に鹿島に同点ゴールを許す。50分、セルジーニョに技ありのループシュートを決められた。その後は互いに勝ち越し点を狙って攻撃を仕掛けるも決め手を欠き、ゴールネットを揺らせず。1-1の引き分けに終わった。

今季途中に定位置奪取。「正直、出来すぎかなと」

 白井は2013年に大阪桐蔭高校から湘南に加入(プロ1年目は当時JFLの福島に期限付き移籍)し、2015年からは愛媛で主力としてプレーした。昨季、札幌へと移籍し、2年目の今季は第27節鹿島戦でリーグ戦20試合目の出場。昨季の出場は10試合にとどまっていただけに、第18節松本戦(△1-1)から連続スタメンとなり、「正直、出来すぎかなという感じがあります」と、本音を口にする。

「今は自信を持ってプレーできている。僕のストロングポイントをすごく出せるようになっているし、それが攻守において良い場面も作れていると思っています。続けていきたいですね」

 ペトロヴィッチ監督の下で今季はレギュラーポジションをつかみ、アジアの舞台への挑戦権獲得とともに、もう一つの目標を抱く。現在ベスト4に勝ち残っているルヴァンカップでのタイトル奪取だ。優勝へ、残された試合は準決勝2試合(対G大阪)と決勝のみ。頂点への思いは大きくなる。

「やはりタイトルを取りたい。みんなもそう思っています。自分は湘南にいたときに一度、J2優勝の経験があるけれど(2014年)、試合にはほとんど出ていなかった。だから、もしも今回、自分が試合に出てタイトルを取れれば、それは幸せなことだと思います」

 プロ7年目にJ1で花開いた札幌の背番号19は、クラブの歴史を塗り替えるべく、これからもサイドを走り続ける。

取材◎小林康幸