青森山田高校のフィジカルを
開幕戦勝利というほかに、この1勝が特別な意味を持つのは、「新ホーム」での最初の公式戦だったからだ。アカデミーの拠点となる「Ankerフロンタウン生田」には376人の観衆が集まって、最初の勝利を共に喜んだ。
川崎市多摩区の生田浄水場用地に、市上下水道局が整備する約15000平方メートルを含む、約48000平方メートルの土地に完成し、3月25日にオープンしたばかり。照明付きのロングパイル人工芝のサッカーコート2面は、サッカーだけではなくラグビー、ラクロスの練習にも対応できる。アリーナはフットサル、バスケットボール、バレーボールなどができる体育館。スタジオでは各種スポーツ教室などで利用でき、テニスコートもインドアとアウトドアで各3面が整備されている。多目的広場は野球など少年世代向けスポーツの練習や大会でも利用できる多目的スペースになっていて、ふれあい広場ではこども向けの遊具などが設置され、憩いとやすらぎのスペースになっている。この広大なエリアをぐるっと巡る全周900メートルのジョギングコースもあり、コインランドリーや保育学童施設も併設。防災拠点としても機能して、川崎市への貢献をうたい続けるこのクラブが形にした、地域共生のシンボルでもある。
サッカーの面から言うと、素晴らしいグラウンド2面のほかに、U-12から各年代で専用のロッカールームがあるのも、まるでプロ選手のようで選手の気持ちを高めてくれる。そして、何より2つの大きな利点を挙げるのは長橋監督だ。
「まず、筋力トレーニングの施設が素晴らしいものになっています」
「それから、トレーニングが終わったあと、すぐに食堂でご飯を食べられるようになっています」
長橋監督によれば、これまではコロナ禍の影響もあって、筋力トレーニングの時間が限られたり、練習終了後には密を避けてできるだけ早く帰宅しなければならず、すぐに食事を取れない選手も多かったという。それが、最新の設備によって、体作りに大切なトレーニング直後の食事と適切な筋力トレーニングというベースが整うことになった。
「この施設ができたことですべてがかなうということで、フィジカルの強化についてはもう言い訳ができないぐらいのものが整ってます。そこもしっかりとやっていきますよ。青森山田高校のようなレベルを目指してる部分がありますので、そこを真剣に目標にしていきたいと思います」
開幕戦で完封に貢献したキャプテンのGK濱﨑知康も、それを強く実感する。
「サッカーのための施設、自分たちのための施設なので、すごくいい環境でできていて、とてもいい感じで仕上がってきています。やっぱり食事の面では、練習後すぐに食べられることで体作りにもいい影響が出てくると思うので、そこが一番いいですね」