上写真=2戦目以降は自身の持ち味をしっかり出したいと話した永長鷹虎(写真◎飯尾篤史)
またチャレンジして負けないように
15分に生まれた松木玖生の先制ゴールに絡み、29分にはファーサイドで待つ佐野航大に好クロスを届けた。
だが、そんなプレーはなんの慰めにもならなかった。セネガルとのU-20ワールドカップの初戦で右サイドハーフの永長鷹虎は自身の持ち味を出し切れず、ハーフタイムでの交代を余儀なくされた。
「悔しいですね……」
今年3月に行われたU20アジアカップ(アジア最終予選)では得意のドリブル突破で後半からゲームの流れを変えるスーパーサブ的な役割を担った。
5人交代のレギュレーションとなった今、カタールW杯を戦った森保ジャパンがそうだったように、レギュラーとサブという垣根はなく、スタートから出る選手と途中から出る選手というように役割が異なるだけに過ぎないが、やはり本番でスタメンに指名された時の気持ちは格別だった。
「途中から出ても、スタメンでも自分がやることは変わらないんですけど、前回からの悔しさがあったので、スタメンで出られたのは嬉しかったですし、結果を残そうと思っていたんで、何もできなかったのはシンプルに悔しいです」
戸惑ったのは、アフリカの選手特有の身体能力の高さやリーチの長さである。普段抜けるはずの間合いでボールを突かれる。抜けたと思っても追いつかれて潰されてしまう……。
「日本では経験できない感覚でした。世界に行くためには、そこでも通用するドリブルや体の使い方を身につけないといけないし、この大会でしか経験できないことなので、またチャンスがあったらいっぱいチャレンジして、負けないようにしたいです」
右サイドバックの高井幸大は相手のエース、10番のサンバ・ディアロを警戒して攻撃参加を自重していた。そのため永長が孤立気味だったのは確かだが、だからこそ、単独突破を期待されての起用だったはずなのだが……。
今回のU-20日本代表の中盤は複数のポジションでプレーできる選手ばかりだが、その中にあって永長は唯一と言えるウイングのスペシャリスト。この先、総力戦となっていくはずだから、出番が来ないことはないだろう。
「自分もこのままでは終わりたくないんで」
世代屈指の稀代のドリブラーは「いい意味で自由にやりたい」と、気持ちをしっかり切り替えてコロンビアとの第2戦に向かう。
取材・文◎飯尾篤史