イングランドのプレミアリーグがクライマックスを迎えている。ブライトンは21日の34節でヨーロッパのカップ戦出場権を争うチェルシーと対戦。「6ポイントゲーム」とも言われたこの重要な一戦で重要な働きを見せたのが、左サイドで躍動した三笘薫だ。現地で取材した山中忍氏が綴る。

上写真=切れのあるドリブルとチャンスメークで勝利に貢献した三笘薫(写真◎Getty Images)

可能性があるからチャレンジしないと

「本当に大きかった」

3−0で快勝。ブライトンの三笘薫は、4月21日のチェルシー戦後に言った。謙虚で、試合後は反省モードである場合が多い日本代表MFの基準からすれば、「声を弾ませて」とも表現できそうなトーンで、「今日のような試合ができれば、自信を持ってできれば全然、勝つ確率は高い」と。

 残り4試合となったプレミアリーグでの欧州出場枠争う上で(7位以内)、勝ちたい試合だった。本人が「6ポイントゲーム」と呼んだチェルシーとのホームゲームは、勝てば2勝分の価値があったとされる、競争相手との直接対決だった。勝者となって6位の座を奪ったブライトンは、一昨シーズン以来となるヨーロッパリーグ(EL)出場を意味する順位に浮上した。5位リバプールとも5ポイント差であることから(本稿執筆時点)、クラブ史上2度目の欧州参戦が、初のCL出場とならないとも限らない。三笘も、「可能性があるから、チャレンジしないと」と、意気込みを口にした。

 そのチャレンジに向け、チームの士気をも高める勝利となったのだから、三笘の発言も頷ける。内容的には、3点差以上の圧勝だった。ボール支配率は53%対47%だが、チームの機能性は100%対0%といったところ。3バック採用も裏目に出たチェルシーは、リーグ戦で連続5試合目となる零封負けを喫した。対戦翌日には、3カ月ほど前に6年契約で就任したばかりのリアム・ロシーニアが、監督の任を解かれるほどの敗戦だった。

 対照的にブライトンは、先発イレブン全員に10点満点で7点以上を与えられる出来の良さ。国内メディアでは、トップ下でチーム2点目も決めたジャック・ヒンシェルウッドや、相手FW陣に何もさせなかったCBヤン・ポール・ファン・ヘッケらが、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに挙げられていた。フェルディ・カディオグルに、9点をつけるファンサイトもあった。左SBながら、ハットトリックに迫った活躍が理由とされていたが、個人的には、その3度の得点機に寄与している左ウインガーの三笘が、両軍の差を体現していたと感じられた。

 カディオグルによる前半3分の先制点は、三笘の右足ボレーで得たCKから生まれている。反射神経の良い相手GK、ロベルト・サンチェスの好セーブで弾き出されてしまったものの、逆サイドからのクロスを予期してノーマークで自らのニアポストへと足を進め、正確にミートした。中盤中央から右サイドに開いてチャンスを供給したパスカル・グロスとは、互いに、まだゴールまで約30メートルの距離にいた時点でも“目と目で通じ合える”関係だ。この日の対戦相手には見られなかった呼吸の良さだ。

 その場面に関する質問が出ると、「もう少し早く入らなければいけなかった」と言いつつも、「チームとして(得点への)形のあるシュート練習はしているので」と、三笘。やはり右サイドからのクロスをとらえた、前節トッテナム戦(2—2)での左足ボレーに話が及ぶと、「いろいろと取り組んでいるところが出ている部分はある。練習では入らないんですけど、試合で入った感じです」と語り、円滑に機能していたチームの4—2—3—1システム同様、スムーズな語り口で日本人記者たちを笑わせてもくれた。

 カディオグルのシュート2本が、サンチェスのセーブに阻まれたのは、65分過ぎの出来事。三笘はまず、ハーフウェーライン付近で後方からパスを受けると、ターンから前方のスペースにパスを出し、カディオグルをゴール前へと走らせている。その1分後、カディオグルから受けてボックス左角まで上がると、キープからの折り返しで、ミドルを打つチャンスを提供した。