イングランドのチャンピオンシップ(2部)で25年ぶりのプレミアリーグ復帰に邁進するコベントリー・シティでチームを牽引する一人が、坂元達裕だ。現在、チームは首位に立ち、次節にも昇格が決まる。加入3年目のシーズンを戦うウイングを、現地で取材活動を続ける山中忍氏が迫った。

ランパードの監督就任が転機になった

昨シーズン途中に就任したランパード監督の信頼が厚い坂元(写真◎Getty Images)

 転機とした一戦は、リーグ戦で2勝しかできなかった昨年末からのミニスランプを、首位奪回で抜けた今年2月半ばの第32節(3—2)。坂本は、瞬時のターンと、切り返しも鋭いドリブルで3人をかわし、アシストのアシスト役として先制点に絡んだ。発言通り、チームもサウサンプトン戦での敗戦から2連勝で立ち直り、黒星をリーグ最少タイの「7」に留めたまま、昇格へのカウントダウンを進めている。

 最大の功労者は、指揮官になるのだろう。気運を生み出したのは、リーグ2(4部)で受け継いだコベントリーを立て直した、前任のマーク・ロビンズ(現ストーク監督)だが、ランパードも、24チーム中17位に落ちていたチームを、昨季のプレーオフ準決勝進出を経て、今季は昇格争いのリーダーへと進化させた。

 そして、坂元にとっての「転機」ともなった。移籍した3年前から主力ではあった。縦のコンビを組む右サイドバックのミラン・ファン・エバイクと、2大新戦力と評された。だが一昨季終盤、腰椎の横突起骨折による自身の長期離脱を境に、前体制下では3-5-2システム採用が増えていった。翌シーズンの復帰後も、ウイングバック起用のない坂元には不利なシステムと見受けられた。

 その点、後任の好みは4バック。坂元はランパード就任9日後、実質的な初陣と言える昨季第19節ミルウォール戦で95分間、4-2-3-1システムの右ウイングをこなし、新体制下初勝利(1—0)に貢献する。試合後、こう教えてくれた。

「前節は、なかなか僕の長所を伝えられてなくて。トップ下気味の位置に入って、後半に少しボールを触れなかった部分もあったので、ミランとちょっと監督と話しに行って、僕はサイドがやりたいと。そこからのクロスだったり、ドリブルだったりが自分の長所だと伝えたんです。どこのポジションでも、やるべきことはやらなきゃいけないわけですけど、僕自身が一番輝けるのはこのポジションかなと思っているので」

 少年時代、あまり海外サッカーは観ていなかったという坂元も、「知っていました。世界のレジェント的な存在で、真ん中(のポジション)でもゴールを決められる選手だと」と言うランパードは、プレミア得点数歴代7位(177)の攻撃的MFだったが、監督としては、守備の責任も果たすハードワークを攻撃陣にも要求する。坂元としては、望むところ。昨季最終節で、プレーオフ(3〜6位)進出を決めた時点で言っていた。

「監督は攻撃の選手だったかもしれないですけど、守備に凄く気をつかう。細かい部分で指示を出してくれる。僕を含めて、ウイングの選手が守備のスイッチを入れるところが多くて、守備の流れとして凄く大事な部分になっていると思うので、それはかなり求められています」