オナイウ阿道は昨季、フランスのリーグドゥ(2部)のトゥールーズに移籍し、リーグ優勝とリーグアン(1部)復帰を成し遂げた。強豪ひしめくリーグで結果を残し、日本代表復帰も目指すストライカーに、新シーズンへの意気込みと代表への思いを聞いた。

上写真=今夏の帰国時、オナイウ阿道に単独インタビュー。昨季を振り返るとともに新シーズンに向けた意気込みを聞いた(写真◎小山真司)

取材・構成◎佐藤 景 写真◎小山真司
協力◎made in 10(cafe)

やっぱり自分はセンターフォワード

ーーリーグドゥを1シーズン戦い終えて、色々な面で発見や日本との違いを感じたのではないですか。

オナイウ 身体能力も含めた選手の能力は高いと感じましたね。対戦相手もそうですし、練習でチームメイトもそう。ボディーコンタクトであったりスピード感であったり、Jリーグとは異なるところは、やっぱりありました。

ーーチームに期待されていたのはやはりゴールだったと思います。リーグでは10得点2アシスト。カップ戦も2得点2アシスト。

オナイウ 僕はFWなので、チームからの期待はもちろんですが、個人としてゴールを求めています。ただ結果には自分の中ではあまり満足できていないのが正直なところです。

ーー1年目では十分な数字とも思えます。

オナイウ もっと取れたと思うので。チーム事情もありましたけど、チャンスがあった中でも、内容的に自分はもっとできたと感じています。Jリーグとはまた違ったまた感覚でそういうふうに感じられたことは、よかったとは思いますけど、ゴールに関しては、もっと取れたと思うし、アシストについても味方の選手がもっと取ってくれればというシーンがありました。自分では、15ゴール以上は取れたかなと。その部分で満足はしてないし、10点は最低限の数字をクリアしたというところですね。

ーー5節から8節まで、序盤に4試合連続ゴールもありました。

オナイウ 最初の頃、点を取ったのはセットプレーも多かったし、自分の中ではそこまで手応えをつかんだ感じではなかったですね。もちろん点を取れたのは良かったし、セットプレーから取れるということを見せられて、自分が得意な部分を証明できたのは良かったですが、もっと流れの中で取りたかったというのはあります。

ーー結果を出す中では、最初からリーグやチームと水が合ったのか、それとも自分のプレーを調整して馴染んでいったのか。

オナイウ 一緒に試合に出る選手がいて、チームのやり方がまずあります。その中で自分の特徴をどう出すかについて考えました。だから味方には「自分はこういうプレーができて、こういうタイミングでパスがほしい」というのを理解してもらえるように、コミュニケーションを取りました。

ーー以前、自分のスタイルについて「周囲を理解し、自分を理解してもらってゴールを記録するタイプだ」と話していました。それはフランスでも変わらず、ですか。

オナイウ そこは変わらないです。やっぱり言葉とか文化とか、日本とは違うので難しさもありますけど、伝えられないわけではないと思っていました。フランスに行っても最初の頃からそこは何とかしようとやってきた。チームメイトにも「前よりも英語うまくなったじゃん」と言われるんですけど(笑)、最初はもっと下手くそで、それでも自分なりにコミュニケーションを取っていました。周りも言葉が分からないからと言って距離を置くこともなかったし、そこはチームメイトにも救われたと思っています。

ーー周囲と分かり合うまで多少なりとも時間がかかるので、ピッチで自分を出すにも少し時間が必要では?

オナイウ 僕自身、シャイなタイプでもないし、もちろん最初は言葉がうまく喋れなかったから、日本にいるときよりも消極的だったかもしれません。それでも話すようにはしていましたね。周囲と理解を深めることが重要なのは変わらないから。その中で周囲へのアプローチというか、コミュニケーションの取り方は変わったと思います。日本ではジョークを飛ばすような感じはあまりないですが、そういう会話が日常的にあるし、ヨーロッパの人だったり、フランスの人、海外の選手はやっぱりはっきりしているから、ちょっとした話でも熱くなってバチバチになったりします。ロッカーで何かについて話していて、そのままヒートアップしちゃうみたいな。それはそれで新鮮だったし、勉強になるというと少し違うかもしれないけれど、Jリーグで過ごしているのとは感覚的に違う部分で、接していたというのはありましたね。

ーーシーズンを通して見てみると、最初に連続で点を取って、少し空いて終盤の昇格や優勝のかかった重要な試合でゴールを決めた印象を受けます。

オナイウ 昇格が決まった第35節のニオール戦、優勝が決まったホーム最終戦のニーム戦(37節)、そういう大事な試合で点を取れたのは、良かったと思います。自分たち次第で昇格や優勝が見えていた中で、勝利につながる点を取れたのは自分にとっても大きかった。

ーー昇格が決まるニオール戦ではFWのリース・ヒーリーが前半途中で交代し、急きょ出番が訪れる状況でした。そして結果を出しました。準備万端はできていた?

オナイウ 僕はセンターフォワード(CF)でずっと出たかったんです。でもチームの事情とかいろいろなものがあって、そこで出られない時期がありました。自分のコンディションが良いタイミングでサブに置かれたり、そういうストレスもあった中で、チャンスが巡ってきた。CFで出られれば絶対に点を取れると思っていたし、その思いはチームメイトにも話していて、そういうモチベーションをもって試合に臨み、しっかり点が取れた。自分はCFの選手だなと改めて思いました。やっぱりボックスの近くで点を取るというのが自分なんだと。