U-24日本代表はあす22日にU-24南アフリカ代表と大会初戦を戦う。東京オリンピック世代の選手たちを若い頃から取材してきた川端暁彦氏がゲームのポイントや見どころを独自の視点で綴るコラム『五輪のツボ』。第1回は堂安律や久保建英が出場したU-20ワールドカップから変わらない2人の関係について取り上げる。

上写真=準備試合では4戦連発の好調ぶりを見せた堂安律(写真◎JMPA)

文◎川端暁彦 写真◎JMPA

「本番でもフィニッシャーとしての役割を」

 2017年5月21日、韓国・水原市にて日本は南アフリカと対峙していた。10年ぶりの出場となったU-20ワールドカップの初戦だった。

 この日のピッチに立ったのは、堂安律、三好康児、久保建英、中山雄太、板倉滉、そして冨安健洋。三好を除くと全員が初めての世界大会ということもあり、明らかに硬かった日本は開始早々に失点し、以降もなかなか流れがつかめず。しかし後半、見事な逆転勝ちを収めることとなる。

 決勝点は縦パスを受けた堂安がワンタッチではたいたボールを久保がこれまたワンタッチで折り返し、さらに堂安がワンタッチでの左足シュートを蹴り込むというもの。「タケ(久保)とはあれができる。練習からやれていた」と堂安が笑顔で語っていたとおり、2人の技術とイメージが噛み合って生まれた見事なゴールだった。

 あれから4年の歳月が流れたが、2人がA代表に名を連ねるようになり、戦いのステージを欧州に移した現在も、ピッチ上で見せる不思議な感覚の共有感は変わっていない。

「お互いに特に話をしていなくとも、タケに預ければボールが帰って来るとか、タケに預ければチームにプラスなことをやってくれると信頼しているし、逆にそういう信頼を彼から僕も感じるので。話さずとも、共通認識できていると思う」(堂安)

 最後の準備試合となった17日のスペイン戦でも、久保のクロスから堂安がフィニッシュという形が見られたが、これは「あえて空けておいた」スペースに入っていく形で生まれている。こうしたワンタッチゴールに繋がるようなセンスの良さは、U-20W杯の南アフリカ戦でのものが象徴する通り、元より堂安の持ち味である。ただ、本人のフィニッシャーとしての自覚が強まったことで、より明確な武器となってきている。

「やっぱりパスが回ってくるので、自分はフィニッシャーを務められる。ほとんどのゴールがワンタッチなので、ワンタッチで打てる位置に入って来られているのは意識の変化と、感覚の良さかな、と。説明は難しいけれど、まさに感覚で、『ここに来そうだな』とか、『ここにフラッとしていれば、ボールがこぼれてくるな』という感覚がある」(堂安)

 堂安は昨季のブンデスリーガでのプレーを通じて一つの殻を破った印象もあるが、その真価は22日から始まる東京五輪で示されることだろう。「本戦でもフィニッシャーとしての役割を果たしたい」とキッパリ語る日本の10番に期待されるのは、分かりやすく「ゴール」ということになる。