韓国で行われている「EAFF E-1選手権」で7月12日、日本は第2戦で中国を2-0で下して連勝した。この試合では、綱島悠斗が代表デビュー。元ボランチのセンターバックが、持ち味の攻撃参加で大きな貢献を果たした。

上写真=綱島悠斗が最終ラインから持ち運ぶ効果的なシーンは、何度も見られた(写真◎Getty Images)

■2025年7月12日 E-1選手権(@龍仁)
日本 2-0 中国
得点:(日)細谷真大、望月ヘンリー海輝

「17年ぶり」の栄誉も

「日本代表・綱島悠斗」の誕生だ。中国戦にフル出場して、大きな一歩を踏み出した。

「すごく楽しかったなという印象と、この試合を終えていろいろな課題も見つかりましたし、自分自身がもっと成長できる、もっとうまくなれると思えていることが、すごくポジティブな印象ですね」

 緊張もあったが、それはもう試合が始まる前までの話。

「スタメンだと聞いたときはものすごく重圧を感じましたし、ものすごく緊張したし、いままでJリーグでは感じたことのない緊張感でした。ただ、意外と試合前は冷静になれていて、自分ができるすべての準備をして、これだけやっているから大丈夫だという準備ができたので、冷静に臨めたなという印象です」

 だから、スタートから強みを出すことができた。7分、佐藤龍之介の右CKにファーから入っていって、相手に引っ張られながらも強引に前に出てダイビングヘッド。左に切れたが、Jリーグで見せているようにセットプレーで高さと強さが武器になることを示した。

 守備では中国との地力の差が明らかだったこともあって不安はなし。持ち味である攻撃面で、さらにその強みを披露していった。

 相手は5-4-1で深くて堅いブロックを敷いてきた。それを打ち破るセオリーは、3バックの一人が前に絡んで数的優位を作って相手を引き出すことだが、この役割を効果的に演じてみせた。

 昨季途中まではボランチ。だから、東京ヴェルディで常に披露しているように、「もう一人のボランチ」として振る舞うのはお手のものだ。この試合では右ボランチの宇野禅斗の近くにポジションを取ってサポートすることで、前半に右シャドーに入った佐藤龍之介、後半はジャーメイン良とのトライアングルでボールを走らせて崩しにかかった。

 国士舘大で1年後輩の望月ヘンリー海輝が、オリジナルの右ウイングバックの位置からさらに高い位置に出てウイングとして突破にかかれたのも、綱島が一列前に出て望月を押し出したからだ。

「自分が特徴としているポジショニングで前を取って、そこから前に関わっていくプレーを出せました。縦パスはいいところを見て差せた印象もあるので、質をもっと上げて、もっともっと回数を増やして、もっともっといい判断をしていく必要がありますけれど、攻撃のところでポジティブな印象を受けました」

 東京Vの選手として代表でプレーしたのは17年ぶりという栄誉も手にして、好スタートを切った日本代表としての人生。ただ、これで諸手を上げて喜ぶことはしない。

「海外組の中に混ざっても遜色なくやるためには、守備のポジショニングや攻撃のポジショニング、立ち位置、あとはラストパスだったり、前線につけるパスの質だったり。そういう細かい精度、細かいポジショニングの微修正は、もっと成長できるところだなと思いました」

 ボランチでの経験をセンターバックで生かすという特徴をさらに高めていくために見つめるのは、細かいところ。それは、これまでもこの先も変わらない。