移籍の渦中の選手、直後の選手は招集外?
移籍の噂や加入直後のクラブでの事情によって、招集されるか微妙なのが、田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ=ドイツ2部)だ。直近の試合にコンスタントに出場していないこともあり、コンディション面も考慮して今回は招集を見送られるかもしれない。また移籍直後で定位置確保に至っていない谷晃生(デンデル=ベルギー2部)も選外となる可能性は高い。
コルトレイクからヘント(ベルギー1部)に移籍し、カンファレンスリーグのプレーオフも含め、開幕から守備の要として先発を続ける渡辺剛は、小川同様、新戦力として試してほしい一人だ。各ポジション2名ずつ招集する場合、CBには板倉滉、冨安健洋、瀬古歩夢、谷口彰悟、さらに左サイドバックとCBを兼任する伊藤洋輝もおり、人材は豊富だ。昨季から急成長している渡辺が『新戦力枠』として今回の活動に招集し、A代表のコンセプトについて理解を深めておくことは今後に向けて大きなプラスとなるはず。現実的にはCBを5人以上招集するとは考えにくく、誰かが外れた場合に招集されるかどうかかもしれないが、東京五輪世代が大勢を占めるチームで、同世代の渡辺もアピール機会がところだろう。
同じベルギーリーグで言えば、シント=トロイデンVVのMF伊藤涼太郎も注目される一人だ。しかしながら現状では、まだクラブで絶対的な存在とはなっていない。層の厚い日本代表のアタッカー陣に割って入るほどのインパクトまでは残せておらず、このタイミングでの代表入りは難しいと思われる。とはいえ、コンスタントに活躍すれば道は開ける。いずれサムライブルーを纏う姿を見たい選手だ。
そのほか3月、6月のメンバー以外で代表入りの可能性を感じさせているのが、南野拓実だ。そもそも第1次森保ジャパンの主軸を担っていた選手だが、所属クラブでの不調もあって第2次森保ジャパンでは招集外となっていた。しかし今シーズンは開幕から絶好調。本来のキレが戻り、3試合で3得点2アシストと結果を出している。ここで復帰しても何ら不思議はない。また、今夏、ベルギーのロイヤル・アントワープからイングランド2部のバーミンガムに加入した三好康児も新天地で評価を高めており、復帰の可能性がある一人。東京五輪組で森保監督のサッカーをよく知ることもプラス材料だろう。従来のメンバーにケガ人などが出れば、9月シリーズでプレーするかもしれない。
Jリーグでゴールランキングのトップを走る大迫勇也(神戸)も、実力的には当然代表に選ばれて然るべき選手だ。ただ、新たなサイクルに入り、数年先を見据えてチームづくりを進める今、海外で活動する今回の遠征に招集するとは考えにくい。指揮官がその能力を十分に知り、チームにおける効果もよく知る選手を呼ぶタイミングがあるとすれば、それは公式大会(アジアカップ)の前や予選で苦しい状況に追い込まれたときではないか。
前述した通り、今回は6月のメンバー中心になると予想するが、中には新シーズンに入り、立場や状況が変わっている選手もいる。旗手怜央はその一人。6月シリーズは久々の代表復帰ながら2試合ともに先発し、指揮官もそのプレーぶりを評価していた。ただし、所属するセルティックで開幕から2試合先発を外れ、2節のアバディーン戦で左ふくらはぎ負傷。8月中旬の段階で最大1カ月の離脱と報じられており、6月の出来を見れば、招集されるべき選手だが、今回は招集を見送られそうだ。
以上を踏まえて、予想した招集メンバーが以下の通りとなる。