写真◎Getty Images
2011年の女子ワールドカップ(W杯)で世界一に輝いた、なでしこジャパンの軌跡を追った週刊サッカーマガジンの連載「日々野真理のなでしこ観察日記」。シーズン3として今大会期間中、サッカーマガジンWebで連載コラムを掲載してきましたが、今回が最終回となります。残念ながら準々決勝敗退となったチームと選手を、6大会連続で女子W杯中継のインタビュアーを務めた筆者は、どのように見たのか?
上写真=南萌華(中央)や長野風花(左)が涙を流す。未来への悔しい経験となった(写真◎Getty Images)
お互いの信頼がチームへの自信に
なでしこジャパンのワールドカップは、ベスト8で幕を閉じました。
ニュージーランドのオークランドで行なわれた準々決勝のスウェーデン戦、1-2で一歩及ばず敗退が決まり、選手たちは涙。試合後の取材エリアでも泣きながら、各選手が一生懸命に絞り出した言葉は、未来への成長とチームへの愛情でした。
「必ず強くなってみせる」
「成長して、また次の大会に」
「このチームが大好きだった」
「みんなのことが大好き」
「本当にいいチームだった」
「スタッフに感謝したい」
2023年のなでしこジャパンは、『全員で戦っている』という一体感と、お互いの信頼が、チームへの自信へとなって表れていました。
登録メンバー23人に、トレーニングパートナーの2人、17歳の谷川萌々子選手、古賀塔子選手を加えた計25人。池田太監督は試合前のミーティングで、いつも「25人で戦う」と話していたそうです。そうした言葉も、全員が一緒に戦っているという空気を作ったのでしょう。
試合前、ピッチ内の先発メンバーが円陣を作ると、ベンチ前では控えメンバーが、一緒に戦うんだという気持ちで、同じく円陣を組んで気持ちを一つにしていました。こうした姿がピッチで戦う選手たちを、より勇気づけていたように思います。
さらに池田監督は「最初から出る選手と、途中から力を加える選手」と表現していました。選手たちの意識の中にもスタメン、サブという考えはなく、全員で戦うという意識が浸透した理由の一つだと思います。