川崎Fとのルヴァンカップ決勝(10月26日)に臨む札幌は、埼玉スタジアム第2グラウンドで試合前日のトレーニングを行なった。強雨の中、ランニングやボール回しなどで汗を流し、翌日の“ファイナル”に備えた。

上写真=10月26日の決勝でも左サイドでの出場が予想される菅(写真◎J.LEAGUE)

「恩返しの意味でも、タイトルを取りたい」

「いつも以上に緊張していますね。もともと緊張するタイプなんですけど、いつもの試合よりも10倍くらいは……」

 ルヴァンカップ決勝を翌日に控え、取材陣の前に姿を現した菅大輝の表情は硬い。降りしきる雨と、肌寒さの中でのトレーニングを終えた直後で疲労もあるのかもしれないが、クラブ初、そして自身初となるタイトルが懸かる一戦を前に、緊張した面持ちを見せていた。

「これほどのビッグマッチは、今までに経験したことがありません。そういう意味では、(決勝は)思い切り(自身の)良さを出して、ただひたすら、がむしゃらにタイトルを狙いたい」

 菅は北海道小樽市出身の21歳。小学生のころから札幌の育成組織に在籍する生え抜きだ。数多くのプロ選手を輩出する名門アカデミーで成長してきたが、「僕たちの代(札幌U-18)は(高円宮杯プレミアリーグからプリンスリーグへ)降格してしまったし、そんなに強い世代ではありませんでした」と話す。それでも、「弱小世代の一人でも、明日は最高の舞台でやれるんだぞ、というところを見せていきたい」と意気込む。

「小学4年生から、このクラブにはお世話になっています。恩返しというか、そういう意味でも、しっかりとタイトルを取りたい」。そう語るように、クラブに初めて“日本一”の称号もたらすべく、強い思いを胸に、決勝に臨む。