2021年の明治安田生命J3リーグで15チーム中12位に終わったガイナーレ鳥取が、シーズン総括会見を行なった。昇格争いに絡むことなく終わった1年の課題を振り返るとともに、来季の巻き返しへのポイントなども語っている。

上写真=総括会見に臨んだ鳥取の塚野真樹代表取締役社長(左)と吉野智行強化育成部長(写真◎石倉利英)

監督交代後も勝ち点を伸ばせず

 2020年の鳥取は終盤までJ2昇格争いに食らいついたものの、最終的に18チーム中5位。今度こそ13年以来となるJ2復帰を、との意気込みで21年シーズンに臨み、開幕戦では鹿児島ユナイテッドFCを3-2で下す好スタートを切った。

 だが、第2節以降の4試合で1分け3敗と勝ち点を伸ばせず、スタートダッシュに失敗した。21年のJ3は全15チーム、1チーム28試合の短期決戦。結局、第7節終了時点で2勝1分け4敗という結果を受けて髙木理己前監督を解任し、FC琉球をJ3からJ2に昇格させた実績を持つ金鍾成監督を後任に据え、残り21試合での昇格争いへの浮上を目指した。

5月14日に就任会見を行なった金鍾成監督(中央)。昇格争いに食い込んでいくことが期待されたが…(写真◎石倉利英)

 ところが、新監督就任後のリーグ戦6試合も1分け5敗。前半戦最後の第15節で就任後初勝利を飾ったものの、この時点で3勝2分け9敗の最下位に沈み、早くも昇格は難しい状況となった。

 後半戦はFC岐阜やカターレ富山にアウェーで勝利するなど好転の兆しも見えたが、ホームでは5月から10月にかけてJ3史上ワースト記録となる8連敗。シーズン終盤はホーム3連勝、最後の3試合も3連勝として12位で締めくくったものの、全体を通してみれば不本意な1年となった。

 会見に出席した吉野智行強化育成部長は、低迷の主な要因として3つを挙げた。

 1つ目は「サッカーにおいて大事な中心・縦のラインを、なかなか定めることができなかったこと」。後述するが負傷者が多かったこと、序盤に結果を出そうと先発を入れ替える試行錯誤が続いたことなどが影響し、センターラインが安定しなかった。

 吉野氏は、リーグ最終盤にようやく「(ボランチの)世瀬啓人の成長、(GK)糸原紘史郎が頭角を現したこと、(FW)石川大地が本来持っているクオリティーを表現するようになったこと、(FW)田口裕也の復調、といった要素で安定した」と指摘。そこまでに時間を要したことで「90分間、さらには年間を通して、好不調の波が大きくなってしまった」と分析した。