4月度のJ2『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』は、ベガルタ仙台のMF氣田亮真が受賞した。この月の5試合すべてに出場して、3試合連続ゴールに1アシストも記録、チームの首位追撃の主役になった。「使命」と語るJ1昇格に向けて、春のスタートダッシュは順調だ。

ヴェルディはうまかった

横浜FC戦で敗れた悔しさを、その先に生かしている(写真◎J.LEAGUE)

――そんな3ゴール1アシストに加えて、もう一つ、「陰のアシスト」がありましたね。甲府戦のチーム2点目、中央で受けてそのまま鋭いドリブルでど真ん中を割って、こぼれ球を富樫敬真選手が決めました。

氣田 ボールを受ける前のポジショニングの段階で、チームとしての狙いもありますし、個人としてもあそこ(中央のエリア)で受けたいという考えがあります。(鎌田)大夢からのパスでしたけど、彼は狭い空間を見つけて縦パスを出せるのが特徴なので、彼なら自分の狭いところでも見つけてくれると思っていたら、その通りいいパスをくれたのがポイントでした。あとは、止めてからドリブルへとスムーズに移ることができて、一人目をかわしたところでドリブルのコースが見えたんです。もちろん、自分で決めたかったけど、足にボールがつきすぎてしまって、うまく打てなくても足を振ろうと意識しました。こぼれたところで敬真くんが素晴らしい反応をしてくれたので、僕だけではなくてそれぞれが特徴を出して仕事を全うしてくれたおかげでゴールになったと思います。

――相手が5人も6人も集まってきましたけど、それでもまったく足を止めずに行ききった。まさにこれこそ、氣田選手の魅力たっぷりのプレーでしたね。

氣田 流れのままに前に行けるという感覚があるとああいうプレーが出るので、どれだけスムーズに自分が前に運べるかが大事になってきます。そういうところをもっと出せていければ、もっとゴールにつながると思っています。

――J1昇格を目指す今シーズン、キャンプから原崎政人監督の下でチーム作りをする中で、サイドハーフとしてはどんな役割を求められていますか。

氣田 攻守において、立ち位置については細かく言われています。フォワードがセンターバックにプレッシャーに出たときに、自分がどこに立つのか、奪ったあとにどこに顔を出すのか、ですね。センターバックにもサイドバックにもボランチにもプレッシャーに行ける立ち位置を意識しています。

――4月の試合ではありませんが、5月8日には古巣の長崎からゴールを奪いました。

氣田 スタジアムに入る前の道を見て懐かしいなと思いましたし、スタジアムに入ってからも長崎のサポーターのみなさんが温かく迎え入れてくれて、僕自身はアウェーという感じはまったくなくてやりやすかったですね。

――古巣という意味では、6月には千葉との試合があります。アカデミー時代を過ごした懐かしいクラブですね。長崎時代の2020年に一度、フクアリで戦っていますが、このときはアシストしていますね。

氣田 次はゴールを決めたいと思っています。自分がジェフの出身だと知っている人も少ないかもしれませんけど、お世話になったチームなので、記憶に残るプレーができたらと思っています。

――すでにリーグは3分の1を終えましたが、順調に昇格への道を進んでいます。ここまで対戦して嫌だったチームはありますか。

氣田 ヴェルディはうまかったですね、強度も高かったですし、自分たちがいろいろと上回られた試合だったので、あの試合は完敗だったかなと思っています。

――その試合には1-3で敗れています。リベンジしたいですね。

氣田 はい、次こそはぜひ勝ちたいと思っています。

――今年の目標はJ1昇格です。月間MVPを受賞した勢いで、残り試合も駆け上がっていってください。

氣田 ありがとうございます。今年はとにかく、J1に昇格するだけだと思っているので、もっと貪欲に熱量高くやっていけたらと思っています。絶対に達成しないといけない使命だと思っているので、がんばります!

取材・構成◎平澤大輔

Profile◎きだ・りょうま/1997年8月12日生まれ、千葉県柏市出身。ジェフユナイテッド千葉のアカデミーから専修大学へ進学。卒業後の2020年にV・ファーレン長崎に加入すると、持ち前のダイナミックなプレースタイルが認められて、ルーキーイヤーからJ2で32試合4得点と主力として活躍した。2年目となる2021年はベガルタ仙台に移籍してJ1でプレー。ここでも29試合3得点とチームを引っ張ったものの、J2降格を余儀なくされた。今季は再びJ2でのプレーだが、チームリーダーとしてのプレーぶりは目覚ましい。持ち味の突破力を生かして、J1昇格へと駆け上がる。172cm、62kg。