明治安田生命J2リーグでは4月10日、東京ヴェルディがレノファ山口FCを迎えた。山口が早々にセットプレーから先制したゲームだったが、そのあとはほぼ東京Vのペース。13分、24分と前半のうちに逆転すると、後半も試合をコントロールしながら60分にはダメ押しの3点目。3-1で快勝を収めた。

上写真=東京ヴェルディのルーキー、佐藤凌我が2試合連続弾。ニューヒーローが躍動している(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月10日 明治安田生命J2リーグ第7節(@味スタ/観衆2,377人)
東京V 3-1 山口
得点:(東)佐藤凌我、山下諒也、小池純輝
   (山)小松蓮

「アジャストしないことが多すぎた」

 先制したのはアウェーのレノファ山口FCで、わずか11分に左CKから小松蓮がヘッドで押し込んだものだったが、この日の東京ヴェルディにはそれほど痛くはなかった。

 2分後の13分に佐藤凌我が2試合連続弾であっけなく同点とすると、24分には小池純輝のシュートのこぼれ球を山下諒也が押し込んで逆転。それ以降も判断の早さ、プレー強度、運動量でいずれも山口を上回り、何度も決定機をつくっていった。

 前半の2ゴールにいまの東京Vの好調ぶりが見て取れる。どちらのゴールもセンターバックの平智広の縦パスから素早くリズミカルに前に運んだもの。1点目は最終ラインで回して時間を調整しながら、平の縦パスを受けた佐藤凌が左へ振って福村貴幸がセンタリング、佐藤凌が決めて、2点目も相手パスをカットした平が素早く佐藤優平へ、これを右前に送り、小池のフィニッシュから山下が押し込んだ。余計な手数をかけずにゴールに素早く迫っていくスタイルで、山口の最終ラインの裏のスペースを攻略していった。

 60分の3点目も同様で、最終ラインで左から右に動かしながら、中盤に入ったところで佐藤優がワンタッチパスを裏に送ってスピードアップ、小池が抜け出してGKの出際を突いたもの。つなぎすぎず、放り込みすぎずのバランスがちょうどよかった。

 東京ヴェルディの永井秀樹監督もその点に手応えを語る。

「もちろんボール保持のこだわりを捨てることはありませんが、いわゆるゲーム支配、ゲーム全体を支配して、相手ボールのときも我々が主導で守備をして回収して再攻撃も、ということを踏まえて、90分通しての支配を目指す中で今日は選手がよくやってくれた」

 山口にとっては苦い逆転負けになった。渡邉晋監督が「このゲームは個人どうこうよりは、チーム全体でアジャストしないことが多すぎた」と表現したように、多くの局面で東京Vのパワーに押し切られて逆襲はかなわなかった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE