Jリーグが帰ってくる。J1は7月4日から、J2とJ3は6月27日からリーグが再開(開幕)する。4カ月間、待ち望んだ試合を前に、サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」で、18媒体横断企画を実施した。全56クラブの選手・監督・関係者にインタビュー。「THIS IS MY CLUB-FOR RESTART WITH LOVE-」をテーマに話を聞いた。ヴァンフォーレ甲府を率いる指揮官、伊藤彰監督はウィズコロナ時代のJクラブの役割を果たすとともに、様々な変化をチームが変わる好機と見ている。

上写真=18年はコーチとしてチームを指導し、19年からは監督として甲府で指揮を執る伊藤監督(写真◎J.LEAGUE)

「自粛期間に選手の特長を見直した」

ーー活動を自粛していた期間はどのように過ごされていたのですか。

伊藤 家で料理をしたり、空いている時間には外で走ったり。けっこう健康的な生活をしていました。監督をやらせていただくと、しっかり走る機会をつくるのもなかなか難しいものですが、今回はけっこう走って、いまは体の調子がいい。以前よりも健康に気をつかうようになりましたね。

ーーサッカーに関しては、どうでしょう。

伊藤 過去の映像を見ながら、自分なりに再開したときのイメージをつくっていました。とくに選手個々の能力や特長を自分の中でもう一度確認する時間にできたのはよかったです。再開に向けて、選手の適正を見極められたので。

ーー今年は新加入の選手が7人いますが、そういう選手の特長を見直したということですか。

伊藤 これまで対戦相手として戦ってきた選手が今年は多く加入しました。彼らが元のチームでどうだったのか、もう一度、見直しましたね。たとえば、岡山時代の武田将平を追って見たり、愛媛のときの野澤英之や福岡時代の松田力を見たりと、あらためて見ることで新たな発見ではないんですが、色々と確認できた。それは非常に有意義だったと思います。持ち味を発揮させるという意味で。

ーー開幕戦を戦っておよそ4カ月間、リーグは中断しました。指揮官としては当然、キャンプからの積み上げを試合を通して高めるプランを持っていたと思います。

伊藤 これだけ長い時間の中断は初めてのことで、戸惑いがなかったかと言えばウソになります。中断当初は、3月に再開するとか、4月に再開するとか、2週間ごとに予定も変わっていました。ただ、僕自身は次第に世の中の状況を見ながら「これはもっと時間がかかる」と感じ、もう少し先を見据えていました。それはトップチームのスタッフが、2週間単位でどんなスケジュールにも対応できるように動いてくれていたからでもあります。選手へのアプローチも含めて、すぐに対応できるように短いスパンで物事を考えて動くコーチングスタッフと、先を見てマネジメントを考える僕と、うまく役割を分担して対応できました。ですから焦りはなく、ゆったりと構えていられました。

ーーそして、リーグの再開が6月27日に決まりました。

伊藤 選手たちのモチベーションの高まりを感じますし、サッカーがある日常を取り戻せるのは素直にうれしいですね。

ーー再開後は、これまでにない過密日程です。

伊藤 ある意味、ポジティブにとらえなければいけないと思っています。中2日、中3日の試合があるので、いかに選手のコンディションを整えられるか。そこが重要になるのは言うまでもないですが、再開までの準備期間が短いということも含めて、他のクラブも条件は同じ。受け入れてしっかりやるだけです。