あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。第6回は、専修大の黄金期を守備で支え、プロに進んだDF栗山直樹だ。

大学で養った人間力

 実際、2013年のプロ入り後も、その正確なパスは一つの持ち味になっている。大学に入ったばかりの頃は得意ではなかったが、考えて努力を積んでいた。全体練習が終わったあと、同期の鈴木雄也(現・Honda FC)らとともにロングパスやショートパスの練習に精を出し、磨きをかけた。

「大学に入ってから、どうすればうまくなるのかをすごく考えるようになりました。1、2年生の頃から源平監督、岩渕弘幹コーチに言われ続けてきたので」

 大学では人間力を養い、社会性も身につけたという。入学当初は自分の意見を監督、コーチにうまく伝えることができなかったものの、意識することでコミュニケーション能力を高めた。それも伸びた要因のひとつだろう。

大学4年時に負ったケガの影響もあり、プロ3年目で公式戦デビューを果たした(写真◎J.LEAGUE)

 千葉に練習参加したときは、先輩の山口智(現・ガンバ大阪コーチ)のもとへ行き、センターバックの駆け引きを学んだ。少しでも疑問が生じると、迷わず教えを請うた。積極的に人から学ぶことで飛躍した。清水東高時代は静岡県選抜で控え。大学も第一志望の筑波大に入ることはできず、専修大でレギュラーをつかんだのは3年生から。それでも、プロ入りを諦めず、夢をつかんだ。

 念願だったJリーグの舞台ではケガなどに苦しんで苦労を重ねたが、2016年に山形に完全移籍してからは本来の輝きを取り戻した。昨季からは副キャプテンも務めており、いまや山形守備陣の柱。大学時代の活躍を知る者にとっては、何ら驚きはない。今年でプロ8年目の30歳。センターバックとして、円熟期を迎えている。

2016年から山形でプレーする。昨季は自己最多のリーグ戦40試合に出場した(写真◎J.LEAGUE)

くりやま・なおき◎1990年12月8日生まれ、静岡県出身。清水東高校から専修大へ進み、インカレ初制覇、関東大学1部リーグ2連覇に貢献。全日本大学選抜にも選出された。大学卒業、13年にジェフユナイテッド千葉に加入し、14年途中にFC町田ゼルビアに期限付き移籍。15年に千葉に復帰したが、16年にモンテディオ山形に完全移籍した。今季、山形で在籍5年目を迎えている。180cm、77kg

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