宮崎県の都城市高城運動公園多目的広場と宮崎市清武総合運動公園多目的広場でキャンプを行なう金沢。柳下正明監督のもと新シーズンへの準備を進めている。1月22日、小雨の中での午後練習後に大石竜平が取材に応じた。

上写真=都城キャンプでの2部練習後、大石が取材に応じた(写真◎サッカーマガジン)

「柳下監督の考えは分かっている」

「日本にいる限り、日程的にバースデー・ゴールってないんですよ。こんな時期に公式戦はないし、練習試合があって、そこで決めても、『なんか…』って感じじゃないですか(笑)。今は別に、(1月がシーズン中の)海外志向ではないのですが、自分に自信がついたり、頑張って結果を残せるようになってきて、『ああ、バースデー・ゴールを決めたい』と、思いようにもなりましたね(笑)」

 そう話すのは、1月21日生まれのFW大石竜平だ。取材日(1月22日)の前日、23歳の誕生日をチームメートやクラブスタッフから祝われたようだが、キャンプ中に誕生日を迎える“Jリーガー”ならでは悩みを明かした。

 静岡県の清水桜が丘高校から国士館大学を経て、金沢に加入したアタッカー。プロ2年目を迎え、「(キャンプは)昨年もやっているので、同じくらいハード…、いや、(今年の方が)もうちょっときついかもしれないけれど、充実してやれています」と、午前と午後の2部練習を終えた後にもかかわらず、すがすがしい表情を見せる。

 金沢にとってJ2に参入して5シーズン目の昨季、過去最高成績の11位でシーズンを終えた。2017年に就任した柳下正明監督の下で築き上げてきた組織的な守備とダイナミックな攻撃で、15勝16分け11敗とJ2で初めて勝ち越し。J1昇格プレーオフ圏には届かなかったものの、勝ち点を「61」まで積み上げ、上位を争うチームに成長した。

 その中で大石は、昨季はルーキーイヤーながら、チームで6番目に多いリーグ戦38試合に出場した。

「上位対決であまり勝てなかったこともあるけれど、それよりも、追い付かれて引き分けた試合が多かった。戦術のミスとかではなくて、個人の問題」

 大石はそのように昨季を振り返る。勝ち、負けの数よりも多い、「16」の引き分けの数を問題視する。今季は勝利の数を増やすために、その課題と向き合う。

「90分間、集中力を保つこととかは個人の意識次第で変わると思う。昨年同様にはいかないとは思いますが、今年はそれをちゃんと改善していければ引き分けの試合が少なくなって、勝ちが多くなるんじゃないかなと思っています」

 柳下体制の4年目であり、大石自身にとっては2年目のシーズン。2019年に得た確かな手応えとともに、今季は飛躍のシーズンになることを目指す。

「僕は2年目ですけれど、柳下監督になってからずっと在籍している選手もいるし、僕も柳下監督の考えとか、求めているものは分かっています。今年はそれを僕たちが、いかに新加入選手に浸透させていけるか。それができれば、今年は間違いなく上を狙えるんじゃないかという考えはありますね。金沢自体がまた若くなったので、(昨年の課題を)改善し、それプラス、走るところとか、フレッシュさを出していきたい。そういうところで相手を上回れば、昨年以上の成績は確実だと思っています」

 そして、大石自身もチームの飛躍のために、自らにノルマを課す。チームの攻撃をけん引する自覚を持ち、2020年シーズンに臨む。

「2ケタ得点、2ケタアシストを目指しています。自分がそのくらいできれば、自分だけで少なくとも20点には絡むことになる。そうすれば、チームの守りは硬いし、自ずと勝ちが増えるんじゃないかと。新加入選手もいるけれど、(昨季主力の)タイキくん(加藤大樹・山形)やカキ(垣田裕暉・徳島)が抜けたりして、点を取る選手とか、(ボールを受けるために)動き出す選手がいなくなってしまった。ポジション争い的にはチャンスかもしれませんが、あの人たちよりも常に上のレベルのプレーをしていかなければ、チームは上がっていかないと思うので、そういうところの危機感も持ちながら、ケガなく、1年間を思い切りやりたいですね。昨年はシーズン終盤にかけて、結構疲れがたまってしまったので、体のケアとか、自分の生活をコントロールしてコンディションを保つことに注意しなければ。1年間、元気にプレーするために、ケガをしない体作りとか、日常から心掛けたいです」

 13番を背負う攻撃の牽引車が、金沢をさらなる高みへと導く。

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