上写真=コンディションを上げてチームの力になりたいと語ったフィリップ・マックス(写真◎高村美砂)
律から「何かあればいつでも」と連絡をもらった
マックスはPSV時代に堂安律とともにプレーした経験を持つ(写真◎Getty Images)
シャルケ04をはじめ、FCアウクスブルクやPSVアイントホーフェン、アイントラハト・フランクフルトなど、ヨーロッパのビッグクラブを渡り歩き、ドイツ代表としてもプレー経験のある左サイドバック、フィリップ・マックスがパナシナイコスFC(ギリシャ)から完全移籍でガンバ大阪へ加入した。
今シーズンから指揮を執るイェンス・ヴィッシング監督や元ガンバの堂安律(フランクフルト)とはPSVアイントホーフェン時代に共に仕事をした旧知の仲。宇佐美貴史とはアウグスブルクでの2016年以来、10年ぶりにチームメイトになった。
「律(堂安)といると、必ずガンバの名前が出てきたし、会話を通して彼にとってのガンバは心のクラブだということも知っています。実際、律からは今回の移籍に関する情報が耳に入ってすぐに連絡をもらい、『何かあればいつでも連絡してね』と言ってもらっていました。実は彼以外にも、これまで同じチームでプレーした日本人選手の全員から連絡をもらっています。長谷部誠、鎌田大地(クリスタル・パレスFC)、山田大記にも『頑張ってこい』と声を掛けてもらいました。みんなからは本当にポジティブな話を聞いていますし、まずは自分の目で日本のサッカーをしっかり確かめ、慣れていけばいいと声を掛けてもらっています。貴史(宇佐美)とは10年ぶりくらいの再会でしたが、これだけ時間が経った今も、彼が英語よりドイツ語の能力が長けていることに本当に驚きました(笑)」
彼にとって初めてのアジア、ガンバでのプレーを決断する決め手になったのは、3つの出来事だったという。
「イェンス(監督)や、つい最近まで在籍していたヴォルフ(ヨルン・エリック/スペシャルアドバイザートゥザヘッドコーチ)とは常に連絡をとっていましたが、彼らからは本当にいい話ばかり聞こえてきました。また彼らが描いているプラン、これからどんなふうにガンバで仕事を進めていこうと考えているのかという青写真にもすごく共感しました。そしてもう1つ、違う文化、違う国で、違うサッカーを楽しんでみたいという思いに駆られたのもあります。もちろん、1つの場所でプレーすることも否定しませんが、僕は異国の地での仕事にすごく興味を惹かれました」
自身のキャリアにおいて初めての海外移籍となったPSVアイントホーフェン(2020−2023)での経験がその考えの源になっている。
「僕はドイツ生まれのドイツ育ちですし、僕の父もまたボルシアMGやシャルケ、TSV1860ミュンヘンなど、ブンデスリーガで400試合近い出場歴を持つプロサッカー選手でした。それもあって子供の頃からブンデスリーガを見て育ったため、僕はブンデスリーガが一番肌にあうというか、しっくりくるという感覚は当然、持ち合わせています。ただ、20年9月にPSVに移籍した時に、初めて母国とは違う国でプレーし、違う文化に触れて、それまでとは違うサッカーをする楽しみを感じられたことは大きなきっかけになりました。ドイツとオランダは近隣国ですが、国や文化が違えば、当然、サッカーも違います。
もちろん、異国の地ではさまざまな紆余曲折があり、いい局面もあれば悪い局面もありましたが、今回イェンスと話をしていた際、日本でそうしたチャンスがあるかもしれないと聞いて、心の底からワクワクしたんです。正直にお話しすると、1つ前に所属したパナシナイコスへの移籍の際は、どこか心の片隅で若干の引っ掛かりを感じていたのですが、今回のガンバからのオファーには心からワクワクし、だからこそ、これが間違いなく自分の進むべき道だと確信しました。イェンスやスタッフともしっかりと対話をしながら物事を進められることも僕にとっては魅力でした」
先にも書いた通りPSV時代には『選手とアシスタントコーチ』という関係性でヴィッシング監督と仕事をし、以降も関係が続いていたからだろう。氏のサッカー観への理解も深く、自身に求められる役割も明確に描けているという。
だからこそ彼自身、少し公式戦から遠ざかる時間が続いていたことを踏まえ、コンディションをしっかり上げることを第一に考えて日々のトレーニングと向き合っていると言葉を続ける。
「イェンスのサッカーでは『前』がキーワードであり一番重要な要素だと理解しています。前向きに守備をする、前にボールを供給する、前に進む。つまり、『前に』という考え方がすべての源です。そしてそれをしっかりとピッチで遂行するには、フィットネス面、体力が求められます。これまで僕は3バックの左ウイングバックを預かることが多かったのですが、ガンバのような4バックのチームでの左サイドバックは、ウイングバック以上に前へのアプローチの距離が長くなります。それに伴い、より多くの運動量、スタミナも求められます。その『スタミナ』の観点から考えると正直、僕はこの1年半、ガッツリと試合に絡めていたわけではなかったため、今はまだ十分ではないと感じています。特に1月初旬に以前のクラブと契約を解除してからは、無所属の状態で、一人でトレーニングをせざるを得なかったため、チームトレーニングの部分もまだまだ足りていません。そこに時間をかけなければプレーを100パーセントの状態には持っていけないからこそ、まずはしっかりとキレを取り戻すためのフィットネスを上げていこうと思っています」