3月14日の明治安田J1百年構想リーグ第6節で、FC町田ゼルビアは柏レイソルを1-0で下した。高い守備の意識がもたらした無失点ゲームの中で、ボランチの白崎凌兵の好調さも光っていた。

上写真=白崎凌兵(右)が汰木康也にアタック。背後を明け渡さない堅実な守備で無失点ゲームに貢献した(写真◎J.LEAGUE)

■2026年3月14日 J1百年構想リーグ第6節(観衆:12,538人@三協F柏)
柏 0-1 町田
得点:(町)テテ・イェンギ

「失点を計算できることは…」

 FC町田ゼルビアの守備が、効いている。

 集団でボールを操る術に長けているはずの柏レイソルに、ほとんど何もさせない完封勝利。クリーンシートはこれで公式戦3試合連続である。

「失点を計算できることは、勝ち点を計算できること」

 黒田剛監督が植え付けたチームコンセプトで90分を戦い抜いた。昌子源は「1-0というのは苦しいんです」と苦笑いだったが、それも冗談だと受け取れるほど余裕をもった戦いのようにも見えた。

「テーマは攻守の切り替えのところと、全員がまとまってコンパクトにすること、相手がローテーションしてもコミュニケーションを取ってついていくこと」

 黒田監督は主にこの3つを掲げて、守備の意識を植え付けたという。特に、これまでの失点の分析から、選手が引き出されたその裏を使われることへの警戒を強めていた。

 その改善をていねいに実行した一人が、ボランチの白崎凌兵である。

「一番嫌なのは、引きずり出されて、一番危ないスペースを空けて、そこに相手が流動的に入ってくること。自分たちが出ていった背中で、ズレを作ってしまうのがしんどいと思っていたので、できるだけ引き出されないようにしていました。それに、相手も最後は絶対にブロックの中に入ってくるので、そこで自由にさせないところはチームとしてできました」

 前に奪いに出る誘惑を抑え込んで、じっくりと構える姿勢で柏を封じ込めたことが「収穫のあるゲームだった」と胸を張った理由の一つだ。

「ミドルプレス気味に、危ないところは締めつつ、最後のところで網を張って取れたのは意図的にできた部分も多かった」

 偶然に頼らずに、相手の攻撃を誘導しながら取り切る。町田には堅守がよく似合う。

「普通にしんどかったですよ。ただ、ボールを持ったときにも何もできずにボールを捨てるようになってしまう感じではなかったし。意図的にボールを持たせつつ、危ないところできちんと奪うことはできていたので、精神的な疲労度は違いますね」

 同じ体を張るのでも、予測外の事態に対応させられるのと、事前のレッスンどおりにプレーをなぞるのとではまったく違う、という実感だ。

 もちろんそれは、自分自身の好調という土台があってこそ。

 昨季の白崎は19試合に出場したものの、プレー時間は599分にとどまり、後半は試合終盤の短い時間に送り込まれる使われ方も多かった。難しい時間を過ごしてきて、ある境地にたどり着いた。

「よくも悪くも楽しもうというマインドでずっとキャンプからやっています。試合に出るか出ないかは自分が決められないところだし、常に首の皮一枚だと思っていて。だから逆に、周りに支配されないというか、次は出られないかもしれないから後悔のないように楽しんでプレーしようと今年は意識してやっています。だから、今年は試合に出られているのはありがたいけれど、それよりもその1試合、その練習、目の前のことを楽しもうというマインドでいて、それが逆にいいのかなと」

 白崎の楽しさがプレーににじみ出て、それがチーム全体に広がっていく。町田が好調のサイクルに入って、次は首位の鹿島アントラーズと激突だ。