上写真=2026年もチームを牽引することが期待される大迫勇也(写真◎J.LEAGUE)
個人の色が攻撃に与える変化を感じる
2026シーズンの初陣となった2月6日のJ1百年構想リーグ開幕戦。昨シーズン、最終盤までタイトルを争った京都サンガF.C.との試合に先発した大迫勇也は37分、ハーフウェーライン付近からの絶妙なスルーパスを前線に送り込み、武藤嘉紀の先制点をアシストした。
開幕前の沖縄キャンプでは今年で36歳になる年齢に触れ、「この歳になってくると結果を出せないとすぐに歳のせいになっちゃうからこそ、目に見えた結果は大事」と話していた。京都戦では、その言葉を体現するべく『結果』で存在価値を示し、シーズンのスタートを切った。
「僕自身は常にフォワードとして点を取りたいと思っていますし、これまでもそこにこだわってきました。ただ、30代に入り、まして昨年は35歳と30代も後半に差し掛かったこの歳で点が取れないとなると、周りからはすぐに『年齢』を理由にされてしまう。メンバー表に載っている年齢の数字が大きくなるほど、それは感じる部分でもあったので、今年もそこにしっかり反骨心を持って結果を求めたいと思います。もっとも、周りを見渡せば35歳を超えて活躍している選手もたくさんいるので。言っていることと相反するようですけど、自分自身はあまりそこにとらわれず、自分にベクトルを向けてやっていこうと思っています」
2009年に鹿島アントラーズでスタートしたプロキャリアも、今年で18年目を迎える。本人にとっては1年1年を大事に積み上げてきたという感覚しかないからだろう。「改まってその数字を聞くと驚く」と笑う。だからと言って、その年数を長いとか短いという基準で考えることはない。昔も今も変わらず、大迫勇也にとってのサッカーは「好きでたまらないもの」。今シーズンも、それを追求することしか頭にない。
「チームとして優勝したとか、個人として得点王になれたとか、そのときはもちろんうれしいですけど、だからといって達成感を覚えることは全くないです。僕にとって『サッカー』は好きで好きでたまらないもので、だからこそやってもやってもまだやりたい、点を取ってももっと取りたいって思うし、裏を返せばその気持ちを持ち続けられてきたから、この年齢になってもピッチに立てているんだと思う。だから今シーズンも、その好きでたまらないサッカーをもっと極められるように、たくさん勝てるように、目の前の試合に全てを注いで準備しようと思っています」
18年のキャリアのうち、ヴィッセル神戸でのプレーは今年で6シーズン目になる。加入したのは21年8月で、同年こそ1シーズンを通してピッチに立つことはなかったが、23年以降はコンスタントに試合に出場しながらチームの主軸として存在感を際立たせてきた。
中でも圧巻のパフォーマンスを示したのが23年だ。22ゴール7アシストでクラブ史上初のJリーグ優勝に貢献すると、自身もキャリアで初めてMVPとJリーグ得点王、ベストイレブンをトリプル受賞。その翌年もコンスタントにピッチに立って11得点9アシストと数字を残し、チームのリーグ連覇を後押しした。
その2シーズンに比べると昨年は彼にとって苦しいシーズンになったと言わざるを得ない。序盤こそケガ人が続出したチーム状況の中でコンスタントにピッチに立ち続け、気を吐いたが、5月以降は、彼自身もアクシデントが重なって離脱と復帰を繰り返す。結果、リーグ戦での得点数は3年ぶりに『2ケタ』に届かず、チームも無冠でシーズンを終えた。
「単純なケガというより、アクデント的な離脱が重なってしまったのが自分としても一番苦しんだ部分でした。ここまでコンディションを崩してしまったのも初めての経験で、復帰しても正直、プレーを少しセーブしなくちゃいけないような試合も多かったですしね。本当に体に不安なくプレーができるようになったのは夏の終わり頃で、時間がかかってしまった。そういう意味ではチームとしても個人としても、悔しいシーズンになりましたけど、オフシーズンを挟んだことで一度、いろんなことをしっかりとリセットできたし、モチベーション高く新シーズンを迎えられているので。昨シーズンの借りを返すためにも、またしっかり戦っていこうと思っています」
そのために、オフシーズンにはランニングと体幹トレーニングをしっかりと積み重ねてゼロから体を作り直し『シーズンを通して戦い抜ける体』づくりに取り組んだという。それもあってか、コンディションはいい。ミヒャエル・スキッベ監督が就任した『新生ヴィッセル』での戦いにもフレッシュな気持ちで臨めているという。
「前監督のタカさん(吉田孝行/清水エスパルス監督)のもとではタイトルをたくさん獲れたし、チームを変えてくれたのもタカさんだったので本当に感謝しています。ただ、今シーズンはスキッベさんが監督に就任されて、またチームの雰囲気がガラッと変わりました。スタッフ陣も大きく入れ替わったこともあり、自分がこのクラブに移籍してきたんじゃないか? って錯覚するくらいフレッシュな空気も感じます。それはすごく新鮮だし、新たに向き合う練習が多いのも面白い。いい刺激をたくさんもらいながら、それが自分のパワーに変わっていくのも感じています。
それに乾さん(貴士)や友太(郷家)ら、新しい選手も加わった中で、個人の色とか特徴が攻撃に与えてくれる変化も感じています。それによって…例えば、乾さんなら、僕よりもう一つ低い位置で起点を作ってくれるので、自分はもっと前でパワーを使えるようなシーンも増えるかもしれない。一方、チーム戦術のところは、まだそこまでたくさんのことを言われているわけではなく、試合を戦いながら少しずつ落とし込まれていくんじゃないかと思っていますけど、いずれにしても、そういうスキッベ監督の新たな色を楽しみながら、全員でそのサッカーを作り上げていければと思っています」