2024シーズンのJ1リーグがいよいよ開幕する。FC東京は2月24日(土)にアウェーでセレッソ大阪と対戦(15時開始/@ヨドコウ桜スタジアム)。今回は注目の開幕戦を前に、昨季途中までC大阪でプレーし、古巣対決となるMF原川力を取材した。チームの仕上がりと自身の目指すところ、新シーズンの目標について、ピータートーキョーのキーマンが大いに語った。

上写真=FC東京の主軸として2024シーズンも活躍が期待される原川力(写真◎(C)FC.TOKYO)

若いときは頑固。今は幅が広がった

ーーいよいよシーズンが開幕します。キャンプを経て、仕上がりはいかがでしょう。

原川 キャンプは何年かやってきて感じていることなんですが、キャンプそのものとシーズンの戦いは関係あるようでないというか。コンディションづくりという点ではキャンプからの積み重ねはあると思うんですけど、シーズンが始まると別物という部分もあります。やっぱり練習試合と公式戦は違うので、始まらないと分からないところも正直、多いです。公式戦をやりながら上げていくのが自分のスタイルでもあるので。

ーー積み上げという点では順調に来ていますか。

原川 100パーセントかどうかと言われたら、まだ100ではないですけど、順調だと思います。公式戦をやっていくなかでもっと良くなるかなと。

ーー去年はシーズン途中の加入でした。その点の難しさもあったと思いますが、今年はスタートからできているという点でポジティブでは?

原川 それはめちゃくちゃ感じますね。昨シーズンはやっぱり夏に来て、その時点でチームがやることがあって、その中で自分がどういう選手なのかを示さなきゃいけなかった。そのバランスがちょっと難しかったのは確かです。でも今年はスタートからチームに入れているし、半年やったぶん、周りの選手のこともわかっていますし、やりやすさは確実に増しています。

ーーチームがやりたいことと自分を示すバランスという点についてもう少し聞かせてください。

原川 まずチームがやりたいことが大枠であって、それプラス、自分の感覚のなかで、こうしたい、こうしたほうがいいかなということがあります。ただチームが出来上がっている中に入るわけなので、ちょっとチームの方にバランスを持っていかないといけないという感じでした。それは当然のことなのですが、ただ半年間やってきて分かったところもあるし、そこに自分の考えとか、プレーをよりアジャストできている段階にはあると思います。

ーー自分の感覚をチームに合わせていく作業は、プロキャリアをスタートさせた頃からやってきたことですか。

原川 若いときは良くも悪くも頑固で、自分がこうだと思ったことしかやらなかったですね。でもサガン鳥栖(2017年)に行ってマッシモ(・フィッカデンティ監督)とやって、ちょっと変わりました。(川崎)フロンターレからレンタルで行って、もう後が無い状況でしたし、状況的にも個人的にも追い込まれていましたし。どっちかと言えば、僕はマッシモのサッカーに合わないと言われていました。でも自分から寄せていくことでプレーの幅が広がったし、やれることも増えたと思いますし、年を重ねるごとに柔軟になったと思います。

ーーあのとき、「合わない」との声がある中でも鳥栖を選択し、フィッカデンティ監督のスタイルのサッカーをやろうと思ったのはなぜでしょう。

原川 いくつか選択肢があった中で、土台があるチームに行きたかったというのがありました。当時、鳥栖は土台があってブレないなという印象もあって、どういうスタイルでもいいので、そういうチームに行ったほうがいいかなと。

ーー大枠がある中で自分を合わせていく方法を考え始めていたのですね。

原川 そのとき、めちゃくちゃヨーロッパでもハイプレスが流行っていたというか、そういうスタイルのチームが増えていた。そういう流れがある中で、僕の感覚的にも走れないと話にならないなと思ったので。

ーー流れを感じても自分で培ってきたものもあるわけで、そこに合わせようと踏み出すのは簡単ではないと思います。

原川 状況的に、もうそんなことを考えている場合でもなかったので。まず試合に出ないといけないし、考え方を振り切らないといけなかった。そのタイミングで鳥栖に行ったのはいま振り返っても大きかったと思います。

ーー昨シーズン、加入後にチームに馴染むのがスムーズだと感じたのは、そういう背景もあったからなのですね。

原川 できるプレーの幅がここ数年で広がっているとは思います。どういうサッカーにも対応できるようにはなってきたのかなと。