上写真=ACLで蔚山現代には2年連続で痛い目にあっている。リベンジを誓う(写真◎川崎フロンターレ)
(連続インタビュー第1回はこちら、第2回はこちら)
つまりは攻撃的に戦わないと
――9月19日からはいよいよACLのグループステージが始まります。蔚山現代、JDTは昨年も同組で戦いましたし、パトゥムでは6月までチームメートだったチャナティップがプレーしています。なかなか因縁深い組み合わせになりましたね。
脇坂泰斗 そもそも、どのクラブがいいという考えはありませんでしたけどね。でも、組み合わせを見て、これこそACLだな、と。
――ACLはコロナ禍で2年、集中開催が続きましたが、今回からホーム・アンド・アウェー方式に戻ります。非常に難しいと言われるこの大会で過去に4回、戦ったことのある身としては、この大会のリアリティーをどう表現できますか。
脇坂 ACLであっても変わらないのは、どう勝つかということです。それが大事で、日本のクラブとは異なるチームとの対戦であっても、相手のスタイルに引っ張られすぎてしまうのは良くないわけです。
――異なる大会に挑む上でも、個人的に頭と体を切り替えたり、チームとして統一感を作っていく方法も変わらないということでしょうか。
脇坂 相手の良さを消していくということで言うと、相手の土俵でやらないということも大事になってきます。でも、シンプルな力勝負で負けていたら勝てるものも勝てない。だから、ACLのゲームへの持っていき方は、どうしてもJリーグと違った難しさはあるとは思います。でも根本は点を取って勝つことにあって、つまりは攻撃的に戦わないといけないということです。
――そこはフロンターレとしての基盤ですからね。
脇坂 アジアの相手はJリーグのチームほど組織だった守備はしてこなくて、個々の能力を押し出す守り方が多い。その分、穴はできやすかったりするんです。だから、その穴を見逃さないようにすべきですね。一人ひとりのプレッシャーは速いので、そこに目を取られないように、引っ張られすぎないように、ということが大事になります。
――チームの分析スタッフから提供される情報と、ピッチ上での肌感覚を上手に整理することが重要になりそうですね。
脇坂 ACLでは、映像で見たものとは違うスピードを相手に感じたりもします。ただ、その逆もあって、国内リーグではハイプレスをしているはずのチームが、うちと対戦するときには構えて守ることもあったりしました。去年の蔚山がそうだったんですよ。だから、あまり映像のイメージに引っ張られすぎるのもよくないですね。
――だからこそ、試合の入りが大事になってきます。ACLは序盤ににらみ合いを続けるゲームが多くなる印象ですが、それは探り合いの時間ですよね。
脇坂 相手のどこが弱いのか、ストロングポイントはどこかを、できるだけ早く見つけますね。僕のポジションであれば、相手のディフェンスのウィークポイントを見つけるのが優先。相手ももちろんこちらの出方を探ってきます。やっぱりそこのせめぎ合いは大事だと思いますね。
チャナティップとの再会も楽しみ
――今回はホーム・アンド・アウェー方式が復活します。どんな影響があるでしょう。
脇坂 ここ2年は集中開催で、本当に大変でした。特に去年のマレーシアでは、日本以上の蒸し暑さと劣悪なピッチ環境に苦しみました。でも、今回は少なくともホームゲームは等々力競技場で戦えるので、すごく大きなメリットです。
――逆に移動が増えることになる上に、平日開催なので過密日程にもなります。
脇坂 でも、また違った大会を経験できるのはすごく楽しみなんです。この大会ではこれまで、Jリーグでやっている力を出すことができているかと言ったら、結果につながっていません。だから、やっぱり結果にこだわっていきたいんです。
――フロンターレの過去のACLでの戦績は、最高でベスト8が3回でした。
脇坂 今回はホーム・アンド・アウェーなので、アウェーでしっかり勝ち点1以上を取って、ホームでは必ず勝ち点3を手にする、という戦い方がより重要視されると思います。これまではその部分で苦労してきたけれど、今回はそこを大事にしたいです。
――国内で見せている力をアジアでもきちんと発揮することは、フロンターレとしての長年の課題でもあります。
脇坂 アジアならではの難しさは、やはりあります。それでも、同じような敗退を何年も続けるわけにはいかないです。今回は(バフェティンビ)ゴミス選手が加わったり、経験ある選手も増えていて、自分たちもACLを経験していますから、ピッチの中で起こった状況に合わせてプレーすることがより必要になってくると思います。
――蔚山現代とは昨年も対戦しましたが、1分け1敗と負け越していて、グループステージ敗退の一因になりました。
脇坂 前回もそうですし、2021年もPK戦で負けているんですよね(ラウンド16で押し込みながらも0-0からPK2-3で敗退)。だから、リベンジしたい。グループステージで当たらなかったとしても、いずれどこかで当たると思っていました。だから、蔚山に勝たなければ東地区の代表にはなれないと思っています。
――チームメートだった小塚和季選手が7月に韓国の水原三星に移籍しました。現地の生の情報を仕入れたいですね。
脇坂 はい、そのうち聞いてみます。それに蔚山には江坂任選手がいますからね。日本代表で一緒になったり、彼の弟さんが僕の大学の先輩なので、結構近しい関係で仲良くさせてもらっていて、そういう楽しみもあります。
パトゥムにはチャナティップもいてこんなに早く再会できるのも楽しみだし、バフェ(ゴミス)もアルヒラル(サウジアラビア)でアジア・チャンピオンになっていますから、今回、東地区の代表になって西地区の代表と対戦したいんじゃないかな。そういうことも、みんな楽しみにしていると思います。
(おわり)
■ACL2023−24 グループステージ グループI
蔚山現代(韓国)
川崎F(日本)
ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)
BGパトゥム・ユナイテッド(タイ)
■川崎フロンターレACL日程
9月19日 vsジョホール・ダルル・タクジム(アウェー)
10月3日 vs蔚山現代(ホーム)
10月24日 vsBGパトゥム・ユナイテッド(アウェー)
11月7日 vsBGパトゥム・ユナイテッド(ホーム)
11月28日 vsジョホール・ダルル・タクジム(ホーム)
12月12日 vs蔚山現代(アウェー)
※4チームがホーム・アンド・アウェーで総当たり。1位のクラブ、および各グループの2位クラブのうち、ランキング上位3つのクラブがノックアウトステージへ進出
※グループステージが終了した時点で、勝ち点合計の多いクラブを上位とし、順位を決定する。ただし、複数クラブの勝ち点が同じ場合は以下の基準を適用し順位を決定する。
【1】当該クラブ間の対戦成績(勝点、得失点差、総得点の順に優先される)
→ここで順位が決定しない場合、当該クラブの直接対戦に限り再度適用して、最終ランキングを決定する。この手順で決定に至らない場合、グループ結果での基準を適用する。
●グループ結果での基準
【2】グループリーグでの得失点差
【3】グループリーグでの総得点数
【4】2つのクラブが【1】【2】【3】を適用してもなお条件で並び、かつその2クラブがグループステージ最終戦で対戦している場合は、試合終了後にPK戦を行い進出クラブを決定
【5】反則ポイント(グループリーグでのイエローカードとレッドカードの数に従って計算したスコア)が低いほう
【6】所属する協会のAFCランキング