川崎フロンターレは9月17日、明治安田生命J1リーグ第30節で柏レイソルとのアウェーゲームを戦った。38分に先制したのは小林悠。実に12試合ぶりのゴールを冷静に決めきったが、またもや追いつかれてのドロー劇で終えて、無念を隠さなかった。

上写真=38分のゴールは冷静そのもの。まさに小林悠らしかった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年9月17日 J1リーグ第30節(三協F柏/12,276人)
柏 1-1 川崎F
得点者:(柏)ドウグラス
    (川)小林悠

「考えながらプレーしている時点で、遅い」

「内容より結果だと思っていた。ゴールを決めなければ意味がないと思ってピッチに立った」

 38分のことだった。相手ミスを中盤で自分のものにしたジョアン・シミッチが左へと戻した。そこから左のワイドで待ち構えた家長昭博が引き取り、内側の宮城天をポスト役に使ってリターンを受けて狭い空間に割って入ると、相手にわずかに触られながらも左前の小林悠へ。相手を見て落ち着いて放った右足のシュートは、GK佐々木雅士の手をはじいてゴールに転がり込んだ。実に12試合ぶりのゴールで先制だ。

「アキくんがいい崩しをしてくれて、落ち着いて決めることができました」

 相手守備陣を崩した家長に感謝する。

「アキくんは僕を前で張らせるようにプレーさせてくれて、僕が前で駆け引きして空いたバイタルエリアに入ってきてくれるんです。ずっと『悠、張っとけ!』と言ってくれて、僕が駆け引きしている間に入ってきてくれて、自分はそこでふくらんでシュートのスペースをつくって、最後はごちゃごちゃっとなったけれど、外に打つ空間を作ってニアを狙えたのがよかった」

 鬼木達監督も先発起用に応えたベテランストライカーを称えた。

「こういうときに気持ちのこもったプレーをしてくれますし、ストライカーとして得点に飢えている貪欲な選手です。こういう舞台で引っ張ってくれますから、続けていってほしいと思います」

 しかし、後半にパワーを出してきた柏に押しきられて同点とされ、そのままドローで終わった。小林はずっと気になっていた違和感を隠さなかった。

「何も考えずに回せたり崩したりできるシーンが少なかった。あ、ここで出てくるのかな、と考えながらプレーしている時点で、遅い。何も考えずに動いて受けて落として、という距離感で試合を通してできれば、もっといい崩しができたと思います。後半は入りから重くなってしまって、攻められる時間が続いて失点して、そこで流れを持ってこなければいけなかった」

 得点以外は反省ばかりだ。過密日程でローテーションしながらの戦いで、長い時間、一緒にピッチで戦ったメンバーばかりではなかったことも大きな影響を及ぼした。2試合連続で先制しながら追いつかれるドロー。またしても、だ。優勝のために必要な勝ち点が逃げていく。

「今日の引き分けはメンタルにきています。どうしても勝ちたかった試合だから、すぐに切り替えろというのは難しい」

 心のゆらぎを素直に認めた。だからといって、足を止めるわけではない。

「試合があくのでしっかり休んで、鬼木監督も残り5試合で信じていれば何かが起こると言ってくれました。監督の言うことを信じていい準備をして試合に臨むだけです」

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE