明治安田生命J1リーグにおいて最も印象深いアシストをピックアップする「月間ベストアシスト」。2・3月の受賞者は、セレッソ大阪のDF山中亮輔だ。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では今シーズンも「月間表彰」を実施しており、当サイトでベストアシストを選出、当該選手のインタビューを行なった。本人が明かす、あの正確無比なクロスの秘密とはーー。

上写真=第4節の清水戦で山中亮輔は2本のクロスによって勝利を導いた(写真◎J.LEAGUE)

「速さがあり、少し落ちるようなボール」

――山中選手は開幕当初、明治安田生命J1リーグでは控えからの途中出場で、JリーグYBCルヴァンカップで先発出場していました。この清水戦はリーグ戦初先発で、C大阪は前節までリーグ戦では2分け1敗の未勝利。強い意気込みで臨んだのではないですか。

山中 与えられたチャンスで何ができるかを意識して試合に入りました。チームは3-1で今季初勝利をつかみ、個人的にも結果を残すことができたので、自分にとって大きなターニングポイントになった試合です。

――前半終了間際の45分、先制点のシーンから振り返ってください。左サイドでボールを持つと、急加速して縦に持ち出して対面の選手をかわし、ニアサイドのFW山田寛人選手へクロス。ヘッドで合わせようとした山田選手の後方にいた清水の選手に当たり、公式記録はオウンゴールとなりましたが、鮮やかな突破からのクロスでした。

山中 対面の選手がサイドハーフで、守備的な選手ではないと分かっていたので、1人はがせればチャンスになると思いました。キックフェイントを織り交ぜながら縦に突破できたことが、まず大きかったです。

――山田選手のポジションは見えていたのですか。

山中 縦に持ち出したときに完全に相手をかわしたので、中を見る余裕がありました。クロスは常に、GKとDFの間への危険なボールを意識しています。練習からそこに入ってきてほしいと要求していますし、FWの選手たちも入ってくるのがうまいので、しっかりイメージが合致しましたね。

――キックの種類は、どのようなものだったのですか。

山中 縦に持ち出して、ボールの位置が正面だったので、自分の中のイメージですが、左足全体をムチのようにしならせる蹴り方で、鋭いボールを意識して蹴りました。あのゴールにもアシストがつけば、個人的に大きかったんですけどね(笑)。でもオウンゴールにはなりましたが、非常に良いゴールだったと思います。

――2点目は、54分に追い付かれた直後の57分でした。同じように左サイドでパスを受けると、今度は持ち出さずにワントラップからクロス。中央に山田選手とMF奥埜博亮選手が飛び込んでいて、奥埜選手が右足で合わせました。

山中 あのときは相手のサイドバックが、完全に縦のコースを切っていました。左足側へのドリブルを警戒していて、ゴール側はすごく空いていたんです。なのでボールを内側に置いて、内転筋を使って押し出すようなボールを蹴りました。2人のどちらが合わせるかは、ボールのスピードとコースによって中の選手が判断してくれればよかったので、奥埜選手がうまく決めてくれてよかったです。

――ブレ球になる、無回転シュートを蹴るときのようなイメージですね。

山中 そうです。カーブをかけるというよりは、押し出すことで速さがあり、少し落ちるようなボールを蹴りました。

――奥埜選手が合わせた場所はゴールエリアのライン上で、GKとDFの間といっても、本当にわずかなスペースしかありませんでした。

山中 イメージ通りの軌道でした。GKが出られないようなボールで、DFも触ればオウンゴールになってしまう怖さがある。自分も守っているときは、ああいう危険なクロスは嫌ですし、そういう強いボールを蹴ることを常に意識しています。

――中央には相手DFがそろっていましたが、それでもクロスを送ったのは、どんな判断があったからですか。

山中 良いクロスが入れば、DFは何もできないと思っています。ボールスピードとコースが良ければ、絶対にゴールは決まる。味方が見えて、クロスを信じて走ってくれているときは、そこに良いボールを届けるだけだと思っています。それが自分の強みなので、今後もブレずにやっていきたいです。