FC東京が人気サッカーマンガ「ブルーロック」とともに盛り上げるのが、10月23日の明治安田生命J1リーグ第33節鹿島アントラーズ戦。ストライカーがテーマのこのマンガにちなんで、FC東京の選手に「ストライカー論」を聞く連続インタビューも、いよいよ最終回。青赤5年目の永井謙佑がゴールへの思いを語る。

永井謙佑の今季はしっかりと押し込んでからのゴールが続く。「練習の成果だと思います」とシュート練習を大事にする(写真提供◎FC東京)

弱気なゲームをしてしまったので借りを返したい

――スピードはディフェンスでも活かされていますね。

永井 相手に寄せることでパスコースを限定して後ろ向きにしやすいですし、トラップの瞬間に寄せることは意識しています。それでトラップが大きくなると奪うことができるので、わざとゆっくりしておいて、アバウトに後ろにつないだときにガッとスピードを上げたりします。

――相手の体の向きや目線の切り方も、寄せるときの判断材料になりそうです。

永井 そうですね。あとは「きっとここに出したいんだろうな」と考えながら追ったりしていますね。トップスピードで追われると誰でも慌てますし、それを何回も何回もやっていると、ミスはすると思うので。

――そのスプリントの繰り返しは、体力をかなり消耗しそうです。

永井 走行距離はあまり出ませんが、ダッシュして短い距離を連続で移動することが多いので、やっぱり疲れます(笑)。

――それでも走る原動力はどこにあるでしょう。

永井 気持ちですね、最後は。サボろうと思えばサボれますが、それで負けちゃったり引き分けになっちゃったりしたら、嫌じゃないですか。あいつサボったな、ってみんなにわかりますし。力を出し切っているならまだしも、まだいけるのにサボっている姿は、自分の子どもに見せたくないです。長男は8歳ですが、パパはサボっているって思われたら、逆に子どもにサボるなよって言えないじゃないですか(笑)。

――そんなところに秘訣があるとは! 一生懸命な姿を見せることのできる今季も佳境を迎えています。FC東京で5年目の今年は、右肩の負傷(1月に右肩関節拘縮、腋窩神経障害により手術)の影響もあって、途中出場が多いシーズンです。

永井 まだまだ全開ではないですが、肩もだいぶ良くなってきています。途中から試合に出ることでいろいろな見え方が出てきて、いまはこうしたほうがいいのかと考えながらやる1年ですね。負けているときはチームに勢いを出すためにどんどん前に出ていけますが、勝っているときほど難しいです。選手としては点を取りにいきたいけれど、1-0で勝っていて残り時間が少なければ、どうすればうまくチームを勝たせるプレーができるか、とか、悩みどころです。

――勝利への葛藤もまた、チームの力になるはずです。それを示すためにも、「ブルーロック」とコラボした鹿島戦では負けられませんね。

永井 アウェーで負けていますし(第13節●0-3)、すごく弱気なゲームをしてしまったので借りを返したいです。ホームのファン・サポーターの前で戦えるので、敗退はしてしまいましたがルヴァンカップ準決勝第2戦の名古屋戦(○2-1)のときのような気迫を持ってやりたいと思っています。

取材・構成◎平澤大輔

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