7月10日の明治安田生命J1リーグ第22節、横浜F・マリノスとアビスパ福岡の対戦は2-0でホームチームの完勝だった。右からのクロスで前半の5分間で2点を奪って優位に試合を進めた。後半は福岡も右サイドを中心に攻めたが、ゴールは生まれないまま。横浜FMが6連勝、福岡が4連敗と明暗がくっきり分かれるゲームとなった。

上写真=オナイウ阿道、エウベル、扇原貴宏がゴールを喜ぶ。前半の2得点を守った横浜FMが6連勝(写真◎J.LEAGUE)

■2021年7月10日 明治安田生命J1リーグ第22節(@ニッパツ/観衆4,873人)
横浜FM 2-0 福岡
得点者:(横)オウンゴール、オナイウ阿道

「相手が1枚も2枚も上でした」

 前日までの雨が上がり、日中の夏の暑さも和らぎ始めた18時キックオフのゲーム。横浜F・マリノスのファン・サポーターにとっては、ちょうどいい夕涼みになったかもしれない。前半はほとんどハーフコートゲームで横浜FMがゴールに迫り、アビスパ福岡から2点を奪った。

 22分、スローンから素早く右を破って天野純がセンタリング、GK村上昌謙がはじいたが、これがカバーに戻ろうとしたDF奈良竜樹に当たってオウンゴールとなった。これが横浜FMのJ1ホーム通算800点目と記念のゴールで先制すると、直後の飲水タイムを挟んで6分後には追加点。またも右から小池龍太がエウベルに預けてそのまま右外に走り抜けると、エウベルはこれをダミーに使ってファーサイドへクロス。DFの裏に忍び込んでいたオナイウ阿道がヘッドで右スミに送り込んで2-0とした。

 後半は逆襲を狙う福岡が動き、右サイドを強化していった。サイドハーフにジョルディ・クルークスを入れて、サイドバックのエミル・サロモンソンとのコンビで何度も右サイドを崩しにかかった。チャンスも多く作ってフィニッシュの一歩手前までは進むが、最後の勝負の瞬間に勝てなかった。

 横浜FMはティーラトンを左サイドバックに入れて、フレッシュな力でこの福岡のサイドアタックに対抗。左サイドバックだった和田拓也がボランチに、ボランチに入っていた岩田智輝がセンターバックに移るなど、マルチロールをこなせる選手の対応力の高さで福岡の攻撃を寄せつけなかった。

 しかし、松永英機監督は「後半は相手もメンバーを変えたり前にパワーかけてきた中で、我々が決定機を作りながら3点目を取れなかったことが試合を難しくしました」と反省が先に立つ。その言葉通り、立ちはだかったのがGK村上。後半開始早々の52分のオナイウ阿道の連続フィニッシュ、78分の渡辺皓太の左からのシュートなど決定機で度重なるビッグセーブにあって、追加点は生まれなかった。それでも中断前のラストゲームに勝って6連勝、首位の川崎フロンターレに勝ち点9差に近づいた。

 福岡にとってはこの村上の活躍が明るい話題ではあったが、これで4連敗。長谷部茂利監督は「相手が1枚も2枚も上だった、と、いろいろな場面で感じた試合でした」と完敗を受け入れた。終了のホイッスルとともにがっくりと膝をついたりピッチに倒れ込む選手の姿が、何よりその苦しみを示していた。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE