9月9日、明治安田生命J1リーグ第15節が開催された。埼玉スタジアム2002では浦和レッズとサガン鳥栖が対戦。鳥栖は2度のリードを守れず、土壇場で引き分けに持ち込まれたが、金明輝監督は勝ち点1を前向きにとらえた。

上写真=2点目を決めた鳥栖の林(左から2人目)。仲間と喜びを分かち合う(写真◎Getty Images)

■2020年9月9日 J1リーグ第15節(@埼スタ/観衆4,398人)
浦和 2-2 鳥栖
得点:(浦)興梠慎三、武藤雄樹
(鳥)趙東建、林大地

・浦和メンバー◎GK西川周作、DF橋岡大樹、トーマス・デン、槙野智章、岩武克弥(82分:山中亮輔)、MF柏木陽介(62分:武藤雄樹)、柴戸海、青木拓矢(62分:エヴェルトン)、関根貴大、FWレオナルド、興梠慎三(65分:杉本健勇)

・鳥栖メンバー◎GK高丘陽平、DF松岡大起(66分:パク・ジョンス)、原輝綺、エドゥアルド、森下龍矢、MF樋口雄太、梁勇基(56分:原川力)、大畑歩夢、本田風智(46分:小屋松知哉)、FW趙東建(56分:林大地)、金森健志(83分:豊田陽平)

あうんの呼吸で相手の裏を突く

 序盤からペースを握ったのは鳥栖だった。最終ラインから丁寧にパスをつなぎ、じっくりゲームをつくっていく。相手のプレッシャーをかけられても慌てることはない。0-0の12分、センターバックの原輝綺は落ち着いていた。ボールをすっと動かしてマーカーをずらし、自陣からロングパス1本で裏を突く。あうんの呼吸で相手の背後へ走り出した樋口雄太の動きも完璧。敵陣深くでボールを受けると、間髪入れずにクロスを送り、最後は趙東建がダイビングヘッドでゴールへ。まさに電光石火の攻撃だった。

 1点リードで折り返した後も自陣に引きこもることなく、真っ向から立ち向かう。48分に興梠慎三にJ1通算150点目となる同点ゴールを奪われたが、それでもペースを乱すことはなかった。そして56分には、林大地と小屋松知哉という攻撃の駒を2枚投入。この攻めのベンチワークが奏功する。1-1で迎えた60分、樋口のミドルシュートを相手GKが弾くと、林が素早く反応して冷静にコースへ流し込んだ。

 悔やまれるのは1点リードを奪ってからの展開。ボールへの寄せが甘くなり、後手に回った。81分には武藤雄樹に同点弾を許し、終盤は防戦一方。最後は何とかしのいで勝ち点1を持ち帰る格好になった。それでも、金明輝監督は手応えを感じていた。

「アウェーで勝ち点1を取れたことはポジティブに捉えたいです。イージーなミスが多発しましたが、選手たちは最後までハードワークしてくれました」

 一方、土壇場で追いついた浦和も最後に勝ち越しのチャンスを生かせず、イレブンたちはうなだれた。大槻毅監督も納得していなかった。

「ホームで勝てなかったのが残念です。前半は技術的なミスが多く、不安定でした」

 前節に続き、あっさり失点を喫しており、守備での集中力を欠く場面が目立っている。

取材◎杉園昌之