9月9日、明治安田生命J1リーグ第15節の川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸が等々力陸上競技場で行なわれ、川崎Fが3-2で勝利をつかんだ。59分には一度は逆転されたものの、交代枠を使い切って迎えた83分にPKで追いつくと、その2分後に宮代大聖のJ1初ゴールで逆転した。

上写真=宮代(左)が残り5分で自身のJ1初ゴールをマーク。この得点で3-2と逆転し、川崎Fが苦しい試合をものにした(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月9日明治安田生命J1リーグ第15節(@等々力/観衆4,778人)
川崎F 3-2 神戸
得点:(川)小林悠、レアンドロ・ダミアン、宮代大聖
   (神)古橋享悟、藤本憲明

・川崎Fメンバー◎GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里亨平(66分:車屋紳太郎)、MF守田英正、家長昭博(66分:脇坂泰斗)、大島僚太、FW旗手怜央(56分:三笘薫)、小林悠(76分:レアンドロ・ダミアン)、齋藤学(66分:宮代大聖)

・神戸メンバー◎GK飯倉大樹、DFダンクレー、渡部博文、菊池流帆、MF西大伍、山口蛍、セルジ・サンペール、酒井高徳、安井拓也(67分:小川慶治朗)、FW古橋享悟、藤本憲明(79分:小田裕太郎)

勝ちながら成長していく

 リーグ戦、ルヴァンカップ準々決勝と、この3週間で3度目となった、このカード。序盤から勝利への強い意思を感じさせたのは、やはりリーグ戦で引き分け、ルヴァン杯で敗退と「三度目の正直」を狙うヴィッセル神戸だった。前線から果敢にプレスをかけ、ボールを奪えば強気に縦パスを打ち込んでいった。

 神戸は開始7分、守田のシュートにゴール前で体を投げ出した渡部がハンドでPKを献上してしまう。このPKを決められると、トルステン・フィンク監督は「幅をうまく使えていなかった」と、3-5-2から3-4-3へとフォーメーションを変更。ロングボールもうまく織り交ぜてセカンドボールを狙うなど、川崎Fのアンカーの脇のスペースの活用していく。すると23分には、渡部の低く速いパスでの右サイドへの大きな展開から試合が動く。西が送ったパスを受けた藤本は、背後から寄せてきたDFをうまくいなしてターン。左サイドから斜めに入ってきた古橋がパスを受けると、冷静にゴールを射抜いた。

 同点ゴールで力を得た神戸は、ハーフタイムを挟んでも川崎Fを相手に押し気味に試合を進める。すると59分、左から展開されたボールを内に絞っていた西がヒールで流し、エリア右に斜めに走り込んだ山口がクロス。ニアサイドに走り込んだ藤本が決めて、神戸が逆転に成功する。

 川崎Fは66分に3枚同時交代など、何とか流れを変えようとするが、意識が前がかりになった裏を突かれて危険なシーンも迎えた。それでも、76分にレアンドロ・ダミアンに最後の交代枠を使うと、これが奏功。やや強引にエリア内に持ち込んだシュートはGKに弾かれるが、こぼれ球を打とうとしたL・ダミアンが倒され、PKを獲得。倒された本人が自ら決めて、試合を振り出しに戻した。

 これで川崎Fは流れをつかむ。追いついた2分後、自陣からカウンターを発動し、脇坂が長い距離をドリブル。ダンクレーの守備にもひるまずゴール前まで持ち上がると、追随していた宮代にパス。宮代が冷静に決めて、残り5分で逆転に成功した。

 後半半ばまで苦しい内容で、鬼木達監督は「今日の内容で勝ちまで持ってこられたのは、すごく大きいと思う。勝ちながら成長していきたいと思っているので、選手はよく頑張ったと思う」と、最後まで諦めずに逆転した選手たちを称えた。

現地取材◎杉山 孝