8月12日のルヴァンカップ、サンフレッチェ広島対サガン鳥栖の中止を受けて、Jリーグの村井満チェアマンと両クラブの社長が緊急会見。中止に至る過程のほか、今後の日程変更の可能性も明かされた。

上写真=合同会見でコメントするJリーグの村井チェアマン(写真◎スクリーンショット)

鹿島の関係者および審判団は濃厚接触なし

 8月12日のJリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第3節、サンフレッチェ広島対サガン鳥栖は、エディオンスタジアム広島で19時開始予定だったが、14時45分に中止が発表された。当該試合の取り扱いについては決定次第、発表される。広島は7月26日のJ1リーグ第7節・名古屋グランパス戦に続き、2回目のホームゲーム当日中止となった。

 これを受けて12日夕方に、Jリーグの村井満チェアマン、サンフレッチェ広島の仙田信吾・代表取締役社長、サガン鳥栖の竹原稔・代表取締役社長が緊急のオンライン会見を実施。中止に至る過程や今後の見通しなどについてコメントした。

 村井チェアマンは会見冒頭に「サンフレッチェ広島のファン・サポーターの皆様には、先日の名古屋戦に続いて当日の試合中止という判断をお伝えせざるを得なくなった。本当に心苦しく、申し訳なく思っています」と謝罪。広島の仙田社長は「名古屋戦に続いての当日の中止に、ご心配もお掛けした。我々もいつ襲われるとも限らない。しっかり安全対策をしていきたい」と語り、鳥栖の感染者へのお見舞いも述べている。鳥栖の竹原社長は「広島の地を訪れて試合を開催できないことを、あらためてお詫び申し上げます」と謝罪し、関係各所にもお詫びした。
 
 会見では、中止に至るまでの詳細が発表された。

 鳥栖の金明輝監督はJ1リーグ第9節の鹿島アントラーズ戦が行なわれた8月8日、朝の体温は36・3度だったが、昼に微妙な違和感(発熱、せき、味覚嗅覚異常、倦怠感などの症状はなし)があったという。それでも鹿島戦の指揮を執り、就寝前の体温は36・4度だった。
 
 翌9日朝の体温は36・4度でチーム練習に参加したが、倦怠感があり、夜に38・0度の発熱があった。それでも10日朝の体温は36・4度に下がっており、チーム練習に参加。その後に体調不良を訴え、佐賀県内の病院でPCR検査を受けた結果、15時に陽性判定を受けて入院した。保健所の判断による金監督の濃厚接触者はチームスタッフ3人のみで、この3人はPCR検査の結果、陰性と判定されている。
 
 これを受けて鳥栖は11日に、トップチームの選手・スタッフなど計89人を対象に独自のPCR検査を実施。広島戦当日の12日昼に結果が判明し次第、陰性が確認された選手・スタッフのみが現地入りするという異例のスケジュールを組んでいた。
 
 そして検査の結果、80人は陰性だったが、11日に発熱していた選手1人とスタッフ1人の計2人がPCR検査と並行して行なった抗原検査の結果、陽性と判定。さらに、この2人を含む9人に陽性の疑いがあり、再検査が必要になったため、13時から専門家を交えて協議が行なわれた結果、14時45分に中止が発表された。

 なお、8日に鳥栖と対戦した鹿島の選手・スタッフおよび審判団については、保健所の判断による濃厚接触者はいないという。金監督以外に陽性となった選手とスタッフについても、感染の可能性があるのは発症した11日の2日前までのため、8日の鹿島戦への影響はなく、12日のルヴァンカップ、清水エスパルス対鹿島は「安全に実施できるとJリーグは判断している」と説明された。