6月13日(土)に、浦和レッズがFC町田ゼルビアを迎えて練習試合を行う。練習再開後、初の対外試合となるが、この一戦に向けてMF長澤和輝が「チームの現在地」「社会の中の浦和レッズ」を語った。

上写真=オンラインで取材に応じる長澤和輝(写真◎スクリーンショット)

スポーツの価値

 6月13日(土)15時にキックオフされるのが、「DHL presents トレーニングマッチ VS FC町田ゼルビア」。埼玉スタジアイムで無観客で行われるこの試合はライブ配信され(YouTube公式チャンネル『URAWA REDS OFFICIAL TV』にて)、さらにはオンラインイベントとギフティング(いわゆる投げ銭システム)が行われることでファンの注目を集めているが、選手からすると、再開するリーグへ向けた貴重な「予行演習」になるという。

 試合前日にオンライン取材に応じた長澤和輝は、町田戦の意義に「絆」を挙げる。

「無観客での公式戦は、僕自身は経験したことがありません。だから、雰囲気はつかみづらいと思います。明日の試合では実際の公式戦をイメージして、スタジアムへの入りのところからしっかりやっていくつもりです」

「サポーターの皆さんがスタジアムで見ることはできませんが、映像を通じて支えてくれるということを自覚して、責任を持ってプレーしたいと思います。サポーターの皆さんと選手、クラブが一致団結してつながって、絆で結ばれているということを確認するきっかけになるはずです」

 その先に待っているリーグ再開以降も、同様だ。

「ドイツのブンデスリーガがすでに再開していますが、デュッセルドルフの知人が言っていたのが、街の人やサポーター、地域の方が気持ちの面ですごく活気づいたということでした。僕はスポーツの価値はそういうところにあると思っています。勝敗の部分ももちろんですが、社会の中で僕たちがそういう役割を担っていくんだという強い持ちを持って戦っていきたいと思います」

 そこに「いない」からこそ生まれる絆。ドイツでプレーした経験も踏まえ、コロナ禍による影響をポジティブに捉えようとする長澤の聡明さが伝わってくる。

「声」による新発見

 町田戦で大事にするのは、「声」だという。

「無観客での試合だからこそ、声は大きな重要な要素になると思っています。大歓声の中だと15メートル離れると味方の声も聞こえず、ベンチから何を言っているかも分かりませんが、無観客では声も通るしマイクも拾うと思います。実際のゲームの中でどんなコミュニケーションが取られているのかは注目するところですね。子供たちやこれからプロを目指す若い選手にとってみれば、プロがどんなコミュニケーションを取っているのか参考になるはずですしね。無観客でどれだけ声が通るか、コミュニケーションがどうなるか、僕たちも新たな発見ができればいいと思っています」

 無観客だからこその「学び」もあるということだ。ライブ配信を見る人たちも、同じように新しい発見に出会ういいチャンスになるだろう。

 長澤自身としては、個人的には新しい役割も楽しんでいる。4−4−2の配置における、中盤のセンターとしての挑戦だ。

「個人としては、最近は真ん中のポジションもやらせてもらっているので、攻守におけるハードワークを長い時間できればいいと思っています。もちろん、トレーニングではサイドハーフもやらせてもらっているので、ポジションによってプレーをしっかり使い分けていきます」

「真ん中のポジションに関しては、守備の時にはしっかりボールを奪いにいくところ、攻撃のところでしっかりとボールを握って攻撃のスタートのパスがしっかりと出していけるように、そしてどんどん前に攻撃参加するのを見せていければと思っています」

 新しい何かを手にするチャンス。長澤はその絶好機をみすみす逃すつもりはない。