1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第22回は、サンフレッチェ広島J初制覇の立役者、佐藤寿人を取り上げる。
ホーム最終戦で初優勝が決定
迎えた12年、広島は新しく森保一監督が就任。佐藤は浦和レッズとの開幕戦で決勝点を挙げ、チームを1-0の勝利に導く好スタートを切る。J1通算98得点で臨んだ第5節のガンバ大阪戦では前半のうちに2得点を挙げ、史上10人目の通算100得点を達成するとともに、4-1の勝利に貢献した。
その後もコンスタントに得点した佐藤に引っ張られた広島は、第25節で仙台との直接対決を制し、首位を奪い返す。終盤は仙台とのマッチレースとなる中、広島はホーム最終戦の第33節でセレッソ大阪と対戦した。
この試合で佐藤は1得点を決め、4-1の勝利に貢献。それでも仙台が引き分け以上なら、優勝決定は最終節に持ち越されるはずだったが、仙台がアルビレックス新潟に敗れたため、悲願の初タイトルとなるJリーグ初優勝が決まった。
勝利で試合を終えた後、仙台が敗れたことを知った佐藤はピッチに顔をうずめて号泣。全34試合に出場、22得点を挙げて得点王に輝いた活躍は、エースにふさわしいものだった。Jリーグアウォーズでは得点王に加え、ベストイレブン、フェアプレー個人賞、MVPも受賞。チームの優勝およびフェアプレー賞・高円宮杯も含め、タイトル総なめの素晴らしいシーズンとなった。