写真◎J.LEAGUE
1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第18回は、ジュビロ磐田から3人目となる得点王、前田遼一を取り上げる。
初のフルタイム出場
磐田がJ1で16位に終わり、入れ替え戦の末にかろうじて残留を果たした08年は、前田も負傷離脱などで8得点に終わった。しかし、開幕時点で27歳の円熟期を迎えていた09年は、これまでよりも一段レベルアップした姿を見せる。
第3節までは無得点だったものの、第4節から3試合連続ゴール。ゴール前のシュート技術には磨きがかかり、安定したポストワークで周囲も生かした。磐田はなかなか勝ち点を伸ばせずに苦しい状況が続いたが、前田は先発フル出場を続けてチームを引っ張った。
シーズン中盤以降も前線で奮闘し、コンスタントに得点を重ねた。第30節では名古屋グランパスを相手にハットトリックを達成しながら、3-3で引き分け。第32節では浦和レッズから2得点を奪いながら2-3で敗れるなど、チームの勝利につながらないことも多かったが、ストライカーとして黙々と結果を出した。
最終的に全34試合フルタイム出場、20得点を挙げて、磐田の選手としては98年と00年の中山、02年の高原に続く3人目の得点王に。チームは11位と振るわなかったものの、MFから進化したストライカーとしての能力を、自身初となるフルタイム出場で発揮して個人タイトルにつなげた。