1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第14回は、浦和をリーグ初優勝に導いたワシントンを取り上げる。

最終節で初優勝&得点王

 189センチ・88キロの巨漢だが、ボールを収めるポストワークだけでなく、スペースへのロングパスに合わせて走ったり、ドリブルでボールを運ぶなど機動力も優れていた。ゴール前ではパワーで蹴散らすというよりも、巧みな切り返しで相手DFをかわすなど、器用なプレーで得点を重ねた。

 ドイツ・ワールドカップによる中断期間中に負傷したため、再開後しばらくは欠場したが、復帰後は再びコンスタントに得点を決めていく。チームはガンバ大阪や川崎フロンターレと首位を争い、第32節でついに優勝に王手をかけた。

 だが、第33節は0-0の引き分け。ホームの埼玉スタジアムでの最終節、2位のG大阪との直接対決で優勝が決まることになった。G大阪の得点源はFWマグノ・アウベスで、前節までに通算25得点。ワシントンは24得点で、得点王のタイトルも懸かる一戦となった。

 浦和は2点差で敗れても優勝、3点差以上ならG大阪の逆転優勝、という状況だったが、先制したのはG大阪。21分にマグノ・アウベスが決め、通算26得点として得点王争いでも一歩抜け出した。しかし浦和は27分にMFポンテが同点とすると、44分にポンテのセンタリングをワシントンが合わせて2点目。前半のうちに逆転した浦和が、優勝に大きく近づいた。

 さらに59分にも、ワシントンが優勝を決定付ける3点目を挙げ、得点王争いではマグノ・アウベスと並ぶ。その後に1点を返されたものの、3-2で勝った浦和がホームの大観衆の前で初優勝を成し遂げた。

 ワシントンは26試合出場・26得点で、31試合出場・26得点のマグノ・アウベスと並んで得点王に輝いた。2人の得点王誕生は史上初めて。ピッチ上のヒーローインタビューで「アリガトウ、サポーター、ウラワレッズ!」と日本語で叫んだワシントンは、その後も知ってか知らずか、ファン・サポーターが歌うMF山田暢久のチャントに合わせて踊るなど、喜びを爆発させていた。

●2006年の得点ランキング(全34試合)
1位 ワシントン(浦和レッズ) 26得点
   マグノ・アウベス(ガンバ大阪) 26得点
3位 ジュニーニョ(川崎フロンターレ) 20得点
4位 ルーカス(FC東京) 18得点
   我那覇和樹(川崎フロンターレ) 18得点
   佐藤寿人(サンフレッチェ広島) 18得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

前年に続く活躍で浦和の新しい得点源となった(写真◎J.LEAGUE)

得点を決めた後、右手で胸をたたいて『鋼の心臓』をアピール(写真◎J.LEAGUE)

26試合に出場、そのうち20試合で得点し、出場した試合ではコンスタントに活躍した(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグアウォーズではマグノ・アウベスと得点王のトロフィーを分かち合った(写真◎J.LEAGUE)